■「福利厚生費」と「法定福利費」の違い
ある会社の経理で、「法定福利費」を「福利厚生費」で計上されていて、
私は当時それら2つの科目を言葉は似ているが別物と思い込んでいたので
(言葉・科目の意味をちゃんと理解していなかったため・・)、
勘違いされているなあと思っていたのですが、気になり調べたところ、
2つの科目はどちらも、社員の福利厚生のための経費だということを知り
驚きと納得でしたので、今回、皆様へもお話したいと思います。
私は当時それら2つの科目を言葉は似ているが別物と思い込んでいたので
(言葉・科目の意味をちゃんと理解していなかったため・・)、
勘違いされているなあと思っていたのですが、気になり調べたところ、
2つの科目はどちらも、社員の福利厚生のための経費だということを知り
驚きと納得でしたので、今回、皆様へもお話したいと思います。
●そもそも福利厚生とは?
「福利」は、「幸福と利益、幸福をもたらす利益」、
「厚生」は、「人民の生活を豊かにすること」だそうで、
「福利厚生」とは、「幸福をもたらす利益によって、生活を豊かにすること」とのこと。
「厚生」は、「人民の生活を豊かにすること」だそうで、
「福利厚生」とは、「幸福をもたらす利益によって、生活を豊かにすること」とのこと。
●福利厚生費とは?
企業が、従業員の確保・定着、勤労意欲・労働能率の向上、労使関係の安定
などの労務管理上の効果を期待して、従業員とその家族を対象に、賃金以外
の間接的給付を行うもの、またその経費科目(勘定科目)をいいます。
などの労務管理上の効果を期待して、従業員とその家族を対象に、賃金以外
の間接的給付を行うもの、またその経費科目(勘定科目)をいいます。
これは企業側は、従業員への福利厚生(のための支出・サービス)を通して、
「従業員へ安心感」「従業員の家庭生活の安定」を提供し、
「従業員の定着性の向上」「職場での生産性の向上」を期待するものです。
「従業員へ安心感」「従業員の家庭生活の安定」を提供し、
「従業員の定着性の向上」「職場での生産性の向上」を期待するものです。
「福利厚生費」は、「法定福利費」と「厚生費(法定外福利費ともいいます)」
の2つから構成されます(税法上の明確な定義はなし)。
「厚生費(法定外福利費)」を一般的に「福利厚生費」としているところが
多いようですので、こちらも以下はそのように区別しています。
の2つから構成されます(税法上の明確な定義はなし)。
「厚生費(法定外福利費)」を一般的に「福利厚生費」としているところが
多いようですので、こちらも以下はそのように区別しています。
「法定福利費」とは、法律で明確に定められており、
社会保険(健康保険、介護保険、厚生年金保険)と
労働保険(労災保険、雇用保険)の事業主負担分が該当します。
社会保険(健康保険、介護保険、厚生年金保険)と
労働保険(労災保険、雇用保険)の事業主負担分が該当します。
これに対して、「福利厚生費」とは、企業が任意で定めることができ、
一般には従業員の生活の向上と労働環境の改善のために支出する費用のうち、
給与・交際費・資産の取得価額以外のものとされています。
具体的には、住宅補助、食事補助、財形貯蓄、慶弔見舞、
レクリエーション(慰安旅行、運動会、演芸会、記念行事他)、
健康維持等(健康診断、人間ドック他)のための支出などが該当します。
一般には従業員の生活の向上と労働環境の改善のために支出する費用のうち、
給与・交際費・資産の取得価額以外のものとされています。
具体的には、住宅補助、食事補助、財形貯蓄、慶弔見舞、
レクリエーション(慰安旅行、運動会、演芸会、記念行事他)、
健康維持等(健康診断、人間ドック他)のための支出などが該当します。
法定福利費については、対象が明確なのに対して、
福利厚生費については、給与や交際費との区分や程度が
「社会通念上、一般的に行われているものと同程度」と明確ではありません。
そのため、一人当たりの金額が大きすぎると、税務面において福利厚生費とは
認められずに従業員の給与とされ、個人の課税対象となる場合もあるので
注意が必要です。
福利厚生費については、給与や交際費との区分や程度が
「社会通念上、一般的に行われているものと同程度」と明確ではありません。
そのため、一人当たりの金額が大きすぎると、税務面において福利厚生費とは
認められずに従業員の給与とされ、個人の課税対象となる場合もあるので
注意が必要です。
●法定福利費に含まれるものとしては下記の通りです。
・健康保険料の事業主負担分
・厚生年金保険料の事業主負担分
・介護保険料の事業主負担分
・児童手当拠出金の事業主負担分
・厚生年金基金掛金の事業主負担分
・雇用保険料の事業主負担分
・労働者災害補償保険料の事業主負担分
・雇用保険・労働保険の保険料の概算支払額
・厚生年金保険料の事業主負担分
・介護保険料の事業主負担分
・児童手当拠出金の事業主負担分
・厚生年金基金掛金の事業主負担分
・雇用保険料の事業主負担分
・労働者災害補償保険料の事業主負担分
・雇用保険・労働保険の保険料の概算支払額
上記の法定福利費の保険料率は、法律により定められています。
●福利厚生費には以下のようなものがあります。
・従業員に対する結婚祝いや出産祝いなど
・入院した際の見舞金
・従業員の家族の香典など
・レクリエーションなどの活動費用
・福利厚生施設の費用
・健康診断の費用
・会社の社宅や寮の維持費等
・入院した際の見舞金
・従業員の家族の香典など
・レクリエーションなどの活動費用
・福利厚生施設の費用
・健康診断の費用
・会社の社宅や寮の維持費等
●福利厚生費の会計処理の注意点。
従業員の労働意欲向上のために支出されたものであっても、
それが「給与」に該当しないか、「交際費」ではないかということを
慎重に判断する必要があります。
それが「給与」に該当しないか、「交際費」ではないかということを
慎重に判断する必要があります。
福利厚生費は、労働力の確保・向上をめざして、従業員全体に対して
支給されるものであるため、会社の経理上費用として計上され、
税務上損金とすることができます。
支給されるものであるため、会社の経理上費用として計上され、
税務上損金とすることができます。
ただし、直接給与としてお金を支給していなくても、税法上給与とみなされれば、
従業員にとっては源泉所得税の課税対象となり、
結果的に追加の税金を負担することになったり、
特定の人間に対しての費用支出について、交際費と判断されれば、
法人については全額損金にすることができません。
従業員にとっては源泉所得税の課税対象となり、
結果的に追加の税金を負担することになったり、
特定の人間に対しての費用支出について、交際費と判断されれば、
法人については全額損金にすることができません。
そのため、福利厚生費が給与や交際費と見なされないために、
次のような点に配慮する必要があります。
次のような点に配慮する必要があります。
(1)支出の目的(従業員の福利厚生のための支出であること)
(2)支出の金額(社会通念上の相当性、税法規定範囲内であること)
(3)一定の支出基準(社内規定や税法基準を満たしていること)
(4)支出対象者(特定の者に限定されていないこと)
(2)支出の金額(社会通念上の相当性、税法規定範囲内であること)
(3)一定の支出基準(社内規定や税法基準を満たしていること)
(4)支出対象者(特定の者に限定されていないこと)
以上、結局、「福利厚生費」とは、従業員のために支出するもので、
福利厚生費のうち法律で定められている支出が「法定福利費」となり、
福利厚生費のうち法律で定められている支出が「法定福利費」となり、
「法定福利費」は「福利厚生費」の一部となりますので、
冒頭でお話しました、「法定福利費」を「福利厚生費」で処理していることは、
全く問題のない話だったのでした・・
ですが、財務状況を把握しやすいように、会計上は、
「法定福利費」と「福利厚生費」は、分けて処理することをおすすめします!