先日、商標登録をされたいというお客様がいらっしゃり、商標登録の申請方法に
 ついてご説明する機会に併せて、知的財産について調べてみました。
 
 ●知的財産とは
 
 知的財産とは、「人間の創造的活動により生み出されたもの」や「商品やサービス
 を表示するトレードマークあるいはブランドのようなもの及び営業上有用な情報」
 など、無形の財産のことを言います。知的財産の特徴の一つとして、「もの」とは
 異なり「財産的価値を有する情報」であることが挙げられます。情報は、容易に
 模倣されるという特質をもっているため、創造者の権利を保護する必要があります。
 
 ・知的財産基本法(参照条文)
 
  第2条 この法律で「知的財産」とは、発明、考案、植物の新品種、意匠、著作
  物その他の人間の創造的活動により生み出されるもの(発見又は解明がされた自
  然の法則又は現象であって、産業上の利用可能性があるものを含む。)、商標、
  商号その他事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの及び営業秘密その
  他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報をいう。
 
  2  この法律で「知的財産権」とは、特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、
  著作権、商標権その他の知的財産に関して法令により定められた権利又は法律上
  保護される利益に係る権利をいう。
 
 ●私たちの回りの「知的財産」
 
 知的財産にはいろいろな種類のものがあります。例えば、新機能搭載のロボットや
 その組み立て方法などのように独創的な新技術は「発明」と呼ばれます。日用品の
 改良などのちょっとした発明は「考案」と呼ばれます。工業製品のデザインは
 「意匠」と呼ばれます。商品の名前などは「商標」と呼ばれます。音楽や映画、
 小説・絵画などは著作物と呼ばれます。
 
 アイデアやデザインなどを勝手に使われたり、まねされたのでは、新しいものを
 創造しようという創作者の意欲が失われてしまいます。また、商品やサービスに
 つけるマーク(目印)を勝手にまねされたのでは会社の信用問題になりかねません。
 そこで、こうしたアイデアやマークを守るルールが特許、実用新案、意匠、商標の
 各制度です。
 
 ・特許権
  ⇒発明、アイディア(例えば、車両盗難防止装置)
 ・実用新案権
  ⇒形あるアイディア(例えば、チャイルドシート装置)
 ・意匠権
  ⇒デザイン(例えば、車体のデザイン)
 ・商標権
  ⇒マーク、ブランド(例えば、車の名前、車両整備サービスの名称)
 
 ●知的財産権の法律
 
 これらの知的財産は「知的財産に関する法律」で守られています。発明は特許法で
 「特許権」として、考案は、実用新案法で「実用新案権」として、商標は商標法で
 「商標権」として、著作物は著作権法で「著作権」としてそれぞれ守られています。
 このうち、特許権、実用新案権、意匠権、商標権の4つを産業財産権といい、産業の
 発展を目的とした権利として、特許庁で扱っています。著作権は文化の発展を目的
 とする権利で文化庁で扱っています。
 
 知的財産権(産業財産権に加えた広い範囲)
 
  産業財産権(特許庁での取り扱い)
   ・特許権(特許法)
   ・実用新案権(実用新案法)
   ・意匠権(意匠法)
   ・商標権(商標法)
 
  その他の知的財産権
   ・著作権(著作権法)
   ・回路配置権(半導体集積回路の回路配置法)
   ・育成者権(種苗法)
   ・商品表示・商品形態(不正競争防止法)
   ・商号(会社法・商法)
 
 ●権利等の発生
 
 知的財産は、登録により発生するものと、創作等により直ちに発生するものがあり
 ます。知的財産権のうち産業財産権(特許権、実用新案権、意匠権、商標権)につ
 いては特許庁に、回路配置利用権は(財)ソフトウェア情報センターに、また、
 育成者権は農林水産省に、それぞれ登録することにより権利が発生します。
 なお、著作権は著作物を創作した時点で、著作隣接権は実演等を行った時点で、
 それぞれ権利が発生するため、登録の必要はありません。ただし、譲渡など権利の
 明確化のために登録制度(文化庁)が設けられています。
 また、不正競争防止法による不正競争行為によって営業上の利益を侵害され又は
 侵害されるおそれのある者は、不正競争行為の停止・予防請求、損害賠償請求権が
 認められています。

 ●特許権の使用料?
 
 「ある特許を利用する際に、権利を持つ人にいくら支払うのでしょうか」
 という問い合せに、とある弁護士さんがお答えしているQ&Aがありました。
 
 特許権の効力の原則は、他人の利用を完全に止めることです。
 特許権者が「いくらお金を積まれても、特許を使わせない」と言えば、
 誰もその特許を使用することはできません。
 その一方で、特許権者は、お金をもらう代わりに特許を使わせてあげるという契約
 を行うことができます。契約の内容は、特許権者の自由です。製品の値段に関わら
 ず、1つ売るごとに1000円支払うという契約にしてもいいし、1年間自由に
 使える代わりに100万円支払うという契約にすることもできます。
 (独占禁止法などによって制限が加わることはあります)
 
 以上、弁護士さんのお答えでした。
 
 参考ホームページ(特許庁)
 http://www.jpo.go.jp/indexj.htm