優秀な人材の確保は、企業に取って最重要課題です。
企業の命運を握るといっても過言ではありません。
 
今回は、優秀な人材を確保するために、採用面接時のポイントを
挙げてみたいと思います。じっくり育成していく新卒採用ではなく、
即戦力が欲しい、中小企業の中途採用の場合です。
 
求人を行っている時点で、人材が欲しい状況なのはもちろんですが、
「なんとなく良さそう」「経験がある」「とにかく急いで人手が欲しい」
だけの理由で選んでいると、結局すぐに辞めてしまい、時間もお金も
無駄になります。またあそこは社員が続かないと思われ、
企業の評判も悪くなります。
 
ですので、面接前の準備、面接にかける時間はとても重要なのです。
今後、面接に向かう企業様の少しでもお役に立てれば幸いです。

●面接の目的
 
 ・資質の確認
 ・意欲・熱意の確認
 ・会社への適応性、業務への対応力の確認
 ・長く働いてくれそうかの確認

●面接に向かう前の準備
 
(1)まずは、会社の方向性を明確にする。
 どのような会社にしたいのか、人の和を大切にするアットホームな会社なのか、
 常に変化し続ける上昇志向の会社なのか、個人主義の会社なのかなど、
 意外と会社の色というものがあり、人も合う合わないがあるものです。
 
(2)どのような人材が欲しいのか明確にする。
 会社として求める人材、現場(求人部署)として求める人材などを話し合い、
 「欲しい人物像」を具体的に明確にします。またそれらの要素に優先順位を
 つけて選考基準を作成します。
 
 ◎「求める人物像」
  ・コミュニケーション力が高い
  ・やる気がある
  ・向上心がある
  ・行動力がある
  ・協調性がある
  ・人間力がある
   など一般的な要素から、さらに、
   当社が欲しい人物像、当社に適合する人物像を挙げます。
 
 どちらかで見ましたが、企業は「能力の高い人」を求めがちですが、
 能力の高い人は、実力を発揮できる、自分を評価してくれる、
 より条件のいいところへ転職していくという傾向があるらしく、
 ですので、「一緒にやっていけそう」「一緒に頑張ってくれそう」
 かどうかで選ぶのがよい、というのがありました。なるほどですね。
 それらも含め、自社に適する人物像は、会社の方向性、
 求める人物像を明確にしていくことで、見てくるのではないかと思います。
 
(3)質問リストを作成する。
 定番の質問から、想定外の質問、相手のホンネを引き出すような質問を
 考えておきます。

●面接の流れ
 
(1)まずは定番の質問をする。
 志望動機、当社でやってみたいこと、将来の目標など、まずは定番の質問を
 します。ほとんどの人が答えを考えてきていると思いますが、ちゃんと
 答えられるか、自分の言葉で話しているか、話す態度はなど、
 チェックします。また、答えに対して、こちらが更に質問するして、
 会話を続けていくのもよい方法です。受け答えがきちんとできるか試しましょう。
 
(2)想定外の質問、相手のホンネを引き出すような質問をしてみる。
 短い時間でその人の本質を見極めることはとても難しいものです。
 そこで定番以外の質問で、どう反応し、答えを導き出すか、
 「思考力」や「問題解決能力」を試してみましょう。
 
(3)会社のアピールを行う。
 自社のアピールは、就職希望者にとって、会社の将来性、
 魅力を感じられるか、やっていけるのかの判断材料になります。
 ・今までの実績
 ・事業そのものがこんなに夢があり、成長が期待出来る。
 ・こんなノウハウや技術が身に付く。
 ・若くてもこんな実績を上げた社員がいる。など
 
(4)理想の企業像を共有する。
 最後に、理想の企業像に共感し、共に創っていく意志があるかを確認しましょう。
 社長が求める企業像と理想の社員像を、共に実現できそかどうか。
 これは、これから共に頑張っていけるかどうか、重要な要素ではないでしょうか。
 
(5)これら質問をしながら、事前に作成しておいた、選考基準で、
 「欲しい人物像」に適合しているか、判定します。

●面接チェックポイント
 
 ・応募動機
  何をやりたいのか、長期的なビジョンがあるか、これまでの経験をどう生かせるのか、
  どうして当社を選んだのかなどから、やる気、仕事観、組織への適合性を確認します。
 ・転職理由
  客観的か、妥当性があるかなど、仕事観、組織への適合性を確認します。
 ・キャリア
  職務経歴書に書かれていることをもとに、実績などをヒアリングしていきます。
  具体的に分かりやすく説明できるかどうかも選考材料にします。
 ・人物タイプ
  自社の社風に合っているか、定着して活躍しそうかなど、長期的な視点で確認します。
 ・退職理由
  転職癖がついていてすぐ辞めてしまう人ではないか、
  前の会社で何か問題を起こした人ではないかを確認します。
 ・質疑応答
  スムーズに回答できるか、質問に対する答えが合っているか確認します。

●やる気チェックポイント
 
◎やる気が感じられる応募書類
 ・誤字、脱字がない、丁寧に書かれてあり見易い。
 ・証明写真がスーツ、明るい表情
 ・志望動機欄から、当社に入りたい強い気持ちが感じられる。
 ・趣味、特技、資格など、しっかりと書かれてある。
 ・再就職者の場合、職務経歴書が添付されている。
 ・職務経歴書に具体的な職務内容、培ってきた能力、成果物、
  自己アピールポイントが書かれてある。
 
◎やる気が感じられる面接での第一印象
 ・身だしなみを整えている
 ・服装がスーツ
 ・清潔感のあるさわやかな印象
 ・明るく大きな挨拶
 ・約束の面接時間に5分前には到着
 
◎やる気が感じられる面接を受ける姿勢
 ・相手の目を見て話すことができる
 ・相手の話を熱心に聞く
 ・落ち着きのある態度
 ・はきはきとした話し方
 ・敬語等の正しい言葉遣い
 ・仕事に対する考え(熱意・目的意識)
 ・真剣さ
 ・背筋を伸ばした姿勢
 
◎やる気が感じられる受け答え
 ・自己アピール、長所、短所を具体的にしっかりと言える。
 ・将来の目標が明確になっている。
 ・志望動機が具体的にしっかりと言える。
 ・この仕事に興味、関心、やりたいという強い意志がある。
 ・長く続けたいと感じられる。
 ・質問に対し、的確な答えが出る。

●好ましくない応募者を判断するポイント
 
 ・自社に対する志望動機が不明確な人
 ・長く勤めたいという意志が感じられない人
 ・仕事に対する意欲が感じられない人
 ・賃金や待遇の話ばかりする人
 ・転職理由(前職を辞めた理由)を説明できない人
 ・自分のPRがうまくできない人
 ・暗いイメージでマイナス志向の人
 ・可もなく不可もなく印象が薄い人

●採用面接での質問例
 
1.志望動機 
 ① 当社を志望した動機は何ですか?
 ② 当社のどういう点に魅力を感じていますか?
 ③ どういう分野で仕事をしたいですか?
 ④ 他にどんな会社を受験していますか?
 
2.職業観
 ① 就職とはあなたにとって何ですか?
 ② 社会人としての抱負を述べてください。
 ③ 仕事のプロとはどういう人だと思いますか?
 ④ 当社の社是をどう思いますか?
 
3.自己紹介
 ① あなたの性格についてお話しください。
 ② あなたの長所を3つあげてください。
 ③ あなたの短所を1つあげてください。
 ④ 何か特技はありますか?
 
4.転職者(中途採用の場合)
 ① あなたの職務経歴、またそれぞれの実績を簡潔にご説明ください。
 ② 業務を遂行していく上で、大切なことは何だと思いますか?
 ③ 仕事上の失敗談をお聞かせください。失敗した1番の要因は何だったと思いますか ?
 ④ 退職した理由をお聞かせください。
 
5.学生生活(新卒者の場合)
 ① 得意科目と不得意科目は何ですか?
 ② 学校生活での一番の思い出をお聞かせください。
 ③ 部活動、サークル活動についてお話ください。
 ④ アルバイトは何かされていましたか?
 
6.その他(業界に関する質問もよい)
 ① 好きな言葉は何ですか?
 ② 尊敬する人物についてお話しください。
 ③ 新聞はどんな記事から読み始めますか?
 ④ 最近の経済問題で関心のあることは何ですか?
 ⑤ こちらに何か質問はありませんか?
 
7.想定外の質問、ホンネを引き出す質問
 上記のようなよくある質問ではなく、想定外の質問、ホンネを引き出す
 ような質問を用意しておき、質問に対する受け答えで、その人の本質を
 見極めることが重要となります。

●面接する面接官の注意点
 
 ・応募者に不快感を与えない。
  応募者は、貴社に少なからず興味を持ち、応募しています。
  たとえ採用水準に達しない応募者でも、誠意ある対応が必要です。
 
 ・応募者の緊張・不安を取り除く雰囲気づくり
  応募者は、緊張・不安状態にあります。できるだけ応募者が話しやすい
  雰囲気をつくることが必要です。
 
 ・面接時にしてはいけない質問
  選考にあたり、本人の人権を侵す質問や、差別につながるようなことを
  聞くことはできません。
  ・思想・信教
  ・支持政党
  ・本籍地
  ・セクシュアルハラスメントと受け取られかねない質問
   など
 
 ・面接を通じて応募者も企業を判断しています。
  面接官の態度、表情、説明で、応募者もどのような会社なのか、
  頑張ろうと思える会社か、尊敬できそうかなど、その企業を見極めています。

「思っていた人と違うなぁ」「思っていた会社と違うなぁ」という結果にならないように、
企業側も面接に向かう姿勢を見直すといいのではないでしょうか。