現在リスケジュール中の中小企業経営者の皆さま、
 金融円滑化法(モラトリアム法)が施行されてから2年が経過しました。
 
 以前もこのコラムで話をさせて頂きましたが、
 この金融円滑化法は、来年3月に終了する予定です。
 
 当初の1年間はある程度無条件に、経営改善計画書(実抜計画)が
 策定されていなくても、金融機関は返済猶予に応じてきました。
 
 しかし、今年から円滑化法延長に伴い状況が変わり
 返済猶予を行う企業は「経営改善計画の策定と実行することが重要」
 「金融機関のコンサルティング機能強化」が金融庁指針として示されたのです。
 
 金融円滑化法の流れをまとめてみると、
 H22年度は返済猶予申請の受入
 H23年度は経営改善計画提出促進、モニタリング強化
 H24年度は円滑化法終了、返済猶予企業の選別
  (H24年度はあくまでも予想ですが・・)
 
 今年4月に出された金融庁指針では
 「事業の持続可能性が見込まれない顧客企業」に対しては、
 債務整理等を前提とした顧客企業の再起に向けた適切な助言や
 顧客企業が自主廃業を選択する場合の取引先対応等を含めた
 円滑な処理等への協力を含め・・・としています。
 
 これは返済猶予企業を選別する方向性を示したものとも考えられます。
 平成24年3月に期限が到来する「金融円滑化法」。
 早急に対処しなければ、手遅れになる可能性もあります。
 
 以前も書きましたが、今後はリスケを安易に申し込めば、
 どのようなケースでも応じると言う事は減ってくると思います。
 特に、経営改善計画を後回しにして、先にリスケに応じると言う事は
 減ってくるのではないでしょうか?
 
 やはり、経営改善計画をしっかり立てて、実現性があると判断されないと
 難しくなるのではないかと思います。
 
 また、既にリスケ中の方は、経営改善計画の達成度によって、
 リスケの延長が認められないケースも出て来るでしょう。
 
 ですから、形だけの経営改善計画を提出して、
 何の努力もしていない、結果を出していない企業には厳しくなるという事です。
 
 最近の事例として、過日、九州のクライアントで、
 年商7600万円、負債総額1億2000万円の企業の4度目のリスケを
 大手地銀及び日本政策金融公庫と交渉してまいりました。
 
 結果として、私が交渉して3年間支払を猶予していただいた元金を、
 今期から10分の1の支払をすることで合意に達しました。
 
 これは当初提出した事業計画書からの目標値と成果に対して、
 6年連続下降していた決算書が初めて下げ止まりを見せましたので、
 その辺りを厳しい数字推移ながら、評価頂きリスケに応じていただいたのです。
 
 厳しい方向へ金融円滑化法は進んで行くと思われますが、上記の例のように
 金融機関に対して、その企業の交渉力だと思います。
 
 しっかりとした再生計画案を持って、何度も説得して
 リスケに応じてもらうことは今後においても可能だと思います。
 
 現在、弊社クライアントで緊急対応している
 年商2億4000万円、負債総1億6000万円企業の初回リスケの交渉をしています
 この報告も近々事例として皆様の報告したいと思います。
 
 今、金融円滑化法の焦点になっているのは、これを延長するかどうかです。
 これまで金融庁としては“白紙状態”とのことでしたが、
 そろそろ明確な方向性を出すようです。
 
 金融庁は、全ての金融機関を対象に、中小企業金融円滑化法に基づく取引先への
 経営相談・指導などコンサルティング業務が十分に実施できているか・・・
 臨時調査を実施したそうです。
 
 この調査結果を踏まえ、金融庁は来週、来年3月末で期限が切れる円滑化法を
 再延長するかどうかについて判断する方針のようです。
 
 弊社は経営改善計画の策定に困っておられたり、
 今後どのようにしていけば良いのかと悩んでおられる中小企業経営者をサポート致します。
 
 トランジスタ経営コンサルタント株式会社