「社会保険とは」と題して、ご説明させていただいております。
 第1回目は、社会保険の概要をご説明しました。
 第2回目は、適用事業所についてご説明しました。
 第3回目の今回は、保険料率についてご説明いたします。
 
 1.社会保険の概要(前々回のおさらい)
 
 国または地方公共団体が直接管理・運営する、日本の社会保障制度の事です。
 事前に強制加入の保険に入り、病気、負傷、身体の障害、死亡、老齢、失業など
 で働けないという事故が起こった時に、生活を保障する相互扶助の仕組みです。
 主なものに、労働者災害補償保険(労災保険)、雇用保険、厚生年金保険、
 健康保険、国民健康保険などがあります。
 
 2.適用事業所(前回のおさらい)
 
 ・労災保険・雇用保険
  従業員が1人でもいれば強制加入
 ・健康保険・厚生年金
  法人の事業所の場合は、役員又は従業員が一人でもいれば強制加入
  個人事業の場合、強制適用事業所と任意適用事業所がある。
 
 3.保険料率(今回はここから)
 
 ●健康保険料(事業主、従業員折半)
 
 ・月給分 標準報酬月額(注1)×保険料率
 ・賞与分 標準賞与額(注2)×保険料率
 
 (注1)標準報酬月額とは、保険料の計算を容易にするため月給の額を固定したもの。
     標準報酬月額は、「標準報酬月額等級表」に定められています。
   ※「標準報酬月額」はこちらを参照ください
   http://blogs.yahoo.co.jp/tmcc_column/7858347.html
 
 (注2)標準賞与額は、支給された賞与額から1,000円未満を切り捨てた額のことです。
 
  ※保険料率は、都道府県ごとに異なる(保険料率は全国健康保険協会まで)。
  ※保険料率は、会社の所在地で決まる。
  ※健康保険の上限額は1回につき200万円。
 
  平成23年度保険料額表(全国健康保険協会)
  http://www.kyoukaikenpo.or.jp/8,0,120,674.html
 
 ●厚生年金保険料/一般の被保険者(事業主、従業員折半)
 
 ・月給分(一般男女) 標準報酬月額(注3)×16.058%
 ・賞与分(一般男女) 標準賞与額(注4)×16.058%
 
 (注3)標準報酬月額とは、保険料の計算を容易にするため月給の額を固定したもの。
     標準報酬月額は、「標準報酬月額等級表」に定められています。
   ※「標準報酬月額」はこちらを参照ください
   http://blogs.yahoo.co.jp/tmcc_column/7858347.html
 
 (注4)標準賞与額は、支給された賞与額から1,000円未満を切り捨てた額のことです。
 
  ※厚生年金保険の上限額は1回につき150万円になります。
  ※厚生年金基金に加入する方の保険料率は、一般の被保険者の保険料率(16.41%)
   から免除率(2.4%~5.0%)を控除した率となり、加入する基金ごとに異なります。
   免除保険料率については加入する厚生年金基金にお問い合せください。
 
  平成23年9月からの厚生年金保険料額表(日本年金機構HP)
  http://www.nenkin.go.jp/main/employer/pdf_2011/ryogaku_23_09_01-01.pdf
 
 ●労働保険料(雇用保険料)(事業主、被保険者それぞれの保険料率で負担)
 
 雇用保険率は、一般の事業、農業・林業・水産の事業、酒造の事業の3種類に分かれます。
 ・一般の事業
   9.5/1,000(事業主負担部分) 6/1,000(被保険者負担部分)
 ・農林水産業・清酒製造業
   10.5/1,000(事業主負担部分)  7/1,000(被保険者負担部分)
 ・建設の事業
   11.5/1,000(事業主負担部分)  7/1,000(被保険者負担部分)
 
 ●労働保険料(労災保険料)(全額事業主負担)
 
 労災保険は、事業の種類ごとに保険率が最低1,000分の5から最高1,000分の129までの
 範囲内で定められています。これは事業の種類によって災害の発生率に差があるためです。
 
 その他の各種事業(事務・営業職等)
 ・月給×5/1,000+賞与×5/1,000
 
 ●児童手当拠出金(全額事業主負担)
 
 ・標準報酬月額×1.3/1,000  標準賞与額×1.3/1,000

 上記の事業主負担分を合計すると(健康保険料率は都道府県毎に異なりますが)
 一般企業の場合、社会保険料の企業負担分は約15%となります。
 正社員を雇用する場合は、直接人件費以外に約15%の社会保険料を見込んでおく
 ことが必要となります。
 
 次回は実際の給付内容についてご説明致します。