今回は、当社のパートナーとしてご協力いただいております
 弁護士 岩永様より、寄稿していただきました。(ありがとうございました!!)
 不定期ですが、今後も皆様へお届けしていけたらと思います。
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「時間外手当の問題に知識を」
 
 会社経営者にとって,時間外手当はごく身近な問題であると思いますが,
 多くの経営者の方は「うちは大丈夫」と思っておられるのではないでしょうか。
 
  しかし,事情を詳しくうかがったり,就業規則を詳しく拝見したりすると,
 問題点が散見される場合が少なくありません。たとえば,次のような話は
 よく聞かれるところです。
 
 「残業代は基本的に含まれていると就業規則に書いているから問題ないはずだ」
 「残業を命じていないのに勝手に残っているだけだから残業代を払わなくてよいはずだ」
 「管理職だから残業代を払わなくてよいはずだ」
 
 このような言い分が直ちに通用するわけではありません。場合によっては未払い
 残業代金ということで,多額の金銭を支払わなければならない事態も予測されます。
 基本給与が30万円の従業員が1日1時間の残業を常に行っていたとしたら,時効期
 間内である2年間の未払い残業代金はおよそ100万円になります。10人から請求さ
 れたら,およそ1千万円という簡単には払えないほどの金額になってしまいます。
 
  また,残業代のほかに,付加金として残業代と同等の金額を支払わなければなら
 ないこともあります。会社が任意に支払わないときは,労働基準監督署から是正勧
 告を受けたり,訴訟への対応を余儀なくされることもあります。資金繰りが一気に
 悪化してしまう危険性があるばかりでなく,会社の評価も悪くしてしまう危険性が
 あるのです。
 
  時間外手当の問題だけを見ても,労働基準法をはじめとする法令を順守すること
 の重要性がお分かりいただけると思います。法令や裁判に関する情報はインターネ
 ットで誰でも簡単に検索できる時代です。労務に関する法令を重要視せず,無防備
 なまま会社経営を続けていくことは,これまで以上にリスクが大きくなりつつあります。
 
  県弁護士会は労働管理に関する講演会を予定しています。時間外手当の問題を
 中心にコンプライアンス経営のための知識を学んでもらいたいと思います。
 
   岩永法律事務所
   所長 弁護士 岩永隆之(長崎県弁護士会 所属)
 
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