平成16年年金法改正で、「保険料水準固定方式」が導入されましたが、
 この保険料水準固定方式とは、一体どういう制度なのでしょうか?
 改めて簡単にですがご説明させていただきます。
 
 平成16年の年金法改正で、導入になりました「保険料水準固定方式」とは、
 公的年金の保険料の設定方法になります。
 
 改正前は、「給付水準維持方式」という方式でした。
 この「給付水準維持方式」とは、年金給付の水準を維持する為に、5年に1度
 財政再計算をして保険料の再計算を行うという方式でした。
 しかし、現在の少子高齢化(保険料の不足と、年金給付の増大)の日本では、
 理論上、給付を維持する為に際限なく保険料が引き上げられることになります
 ので限界がありました。
 
 この問題を解決すべく導入されたのが「保険料水準固定方式」で、
 「保険料水準固定方式」では、保険料を一定の段階で固定して、
 その範囲で可能な年金給付を行うと言う考え方です。
 
 この方式ですと、保険料の引き上げをある一定の段階で押さえられるので、
 今までの「給付水準維持方式」のように、際限ない保険料のアップという
 心配がなくなりました。しかし、保険料収入の範囲内でしか年金給付を
 行わないわけですから、年金を受け取る人が確実に増えている日本におい
 ては、一人当たりの年金給付の水準は当然下がってしまうことになります。
 
 ●「保険料水準固定方式」の大きな問題点
 
 この「保険料水準固定方式」は保険料収入が上がれば給付水準は引き上がり、
 収入が減れば水準が下がりますので、将来の給付水準が不透明になりました。
 
 この問題に対し、国は、モデル世帯(夫サラリーマン、妻専業主婦)で、
 現役世代の収入の50%は確保されると宣言していますが、甘い出生率予想に
 基づくもので、この約束を守れるかどうかについても非常に危うい状況です。
 
 また、固定される保険料についても、そもそも現在よりもかなり引き上げた
 状況で固定しますので、現在よりも負担が増えます。また改正で保険料額に
 物価や賃金上昇率に応じた「改定率」を乗じることとなったため、固定された
 といっても、改定率によっては、支払額が増える可能性もあります。
 
 ●「保険料水準固定方式」による保険料の段階的引き上げ
 
 厚生年金は2004年の10月より、それまでの保険料率13.58%から毎年0.354%
 ずつ引上げて、最終的には平成29年度で18.30%(上限)となります。
 厚生年金の場合は、支払いが労使折半ですので、18.30%の半分の9.15%、
 つまり、およそ給与から一割弱ほどの負担となります。
 
 国民年金は2005年の4月より、それまでの1万3300円/月の保険料から
 毎年月額280円ずつ上がっていき、最終的には平成29年度で
 1万6900円/月(上限)となります。
 
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