前回、会社にかかる税金について説明しました。
 その中の法人税を算出する際に重要になる「損金不算入」について、
 説明したいと思います。
 
 まずは前回のおさらいです。
 法人税について以下のような説明を書きました。
 
 ●法人税(国税)
 
  個人の所得にかけられる税金が所得税というのに対し、
  法人の儲け(所得)に対してかけられる税金が法人税です。
  単純に「会計上の利益」に課税されるのではなく、
  税務調整して「法人税法上の所得」を算出して、課税されます。
 
  なぜこのようにしているのかというと、例えば同じ100万円の利益を
  あげた2つの会社があったとして、1つの会社は、交際費を500万円使い
  利益を圧縮し、もう1つの会社は、10万円しか使わなかった場合に、
  同じ利益だからと同じ税額では、不公平になるからです。
  それだったら、もう1つの会社も、交際費に使い、利益を圧縮した方が
  税金が安くなるというとになってしまいますよね。
  そうした不公平感を無くすために、会計上の利益ではなく、
  法人税法上の所得に対して課税するのです。
 
 ---前回ここまで
 
 法人税とは、法人の儲け(所得)に対してかけられる税金でしたね。
 そしてそれは、単純に「会計上の利益」に課税されるのではなく、
 税務調整して「法人税法上の所得(法人税の課税所得)」を算出して、
 課税されるということでしたね。
 それは「不公平感を無くす(税金を公平に課税する)ため」でしたね。

 では実際、税務調整とはどのようなことをして、
 「法人税法上の所得」を算出するのでしょうか?
 
 ちょっと余談ですが・・
 
 「収益」から「費用」を差し引いた残りが「もうけ」
 であるという基本的な考え方は会計でも税務でも同じですが、
 その「収益」や「費用」の捉え方が違います。
 
 「会計上の利益」=収益-費用
 「法人税法上の所得(法人税の課税所得)」=益金-損金
 
 税務では「収益・費用・利益」という言葉の代わりに「益金(えききん)
 ・損金(そんきん)・課税所得」という言葉を使用します。

 実際、数字を入れてみると分かり易いですね。
 
 例えば、会計上では、利益が20となっているところが、
 
 【会計上】 収益(100)-費用(80)=利益(20)
 
 費用(80)のうち、税務上は費用(損金)として
 認められない部分(損金不算入)が(10)あったとすると、
 
 【税務上】 益金(100)-損金(70)=課税所得(30)  
 
 このように、課税所得が30になり、
 (会計上)よりも(税務上)の「もうけ」の方が多くなります。
 
 ということは、払う税金が多くなるということですね。

 
 話を戻します。
 
 法人税の課税所得は、「収益-費用=会社の利益」を元に、
 「収益=益金」ではない部分を「益金算入」「益金不算入」
 「費用または損失=損金」でない部分を「損金算入」・「損金不算入」
 して算出します。
 
 1.益金算入項目:会計上、収益ではないが税法上、益金となるもの
 2.益金不算入項目:会計上、収益であるが、税法上、益金にはならないもの
 3.損金算入項目:会計上、費用ではないが、税法上、損金になるもの
 4.損金不算入項目:会計上、費用であるが、税務上、費用にならないもの
 
 税務調整とは、これらのプラスマイナス作業を、
 税務申告の書類上で行い、課税所得を算出する作業ですね。
 
 調整する項目には、次のようなものがあります。
 
 ■損金不算入
 (1)役員賞与・役員報酬・役員退職金の過大分
 (2)減価償却費の超過分
 (3)法人税・住民税等
 (4)交際費
 (5)寄付金
 (6)引当金・準備金の超過分
 
 ■損金算入
 (1)繰越欠損金
 
 ■益金不算入
 (1)受取配当金
 (2)税金の還付金

 
 法人税法上では会計上の費用となっても損金とはならないもの
 (損金不算入の項目)が非常に多く存在しています。
 
 法人税法上の費用とならないと、所得が増え、法人税として納付すべき
 税金が増えてしまいます。そのため、法人税法を実務として勉強し、
 節税に励むためには、損金不算入の項目を押さえることがポイントに
 なりますね。