韓国は昨日、突然北朝鮮から提案してきた南北実務者会談に向かって騒がしくなっています。
中断している開城工業団地、金剛山観光、離散家族再会事業、6・15(2000年6月の南北共同宣言)という議題を話し合おうと、まるでビビンバのように一まとめにして北朝鮮が投げ掛けてきたわけです。
早速韓国はそれを受け入れ、数時間後には今月12日にソウルでの首脳級の会談を提案しました。
しかし、それに対して北朝鮮は今月9日に開城での実務者会議を逆提案してきました。
始めから主導権争いの状態が浮き上がって来ています。
では本当に北朝鮮が南北関係の改善を望んで、そうした提案をしてきたかと言うと私はおそらく違うと思います。
これはあくまで戦術の一環でしょう!
相手より自分が優位にある時は強圧的に出て、相手より自分が不利な状況では優柔な歩み寄りを見せる定石的な戦術です。
3月には今にも戦争が起きるような超緊張状態を南北間に形成したけど結果的に得る物は何も無かったわけですよね。
しかも唯一自分たちの味方だと思っていた中国からも冷遇される状況に北朝鮮はなってしまいました。
このままでは今日から始まる米中頂上会談でも北朝鮮に対する強硬な姿勢がさらに米中間で合意されかねない危険性があるので、その前に南北対話推進中を演出しておく必要があったわけです。
これはまた中国の顔を立てることにもなります。
対話と言っても6者会談は核の問題を避けられないのでこれはやりたくない。
それで核の問題と関係なく、しかも韓国側が乗ってこざるを得ない開城工業団地、金剛山、離散家族といった議題を一まとめにして出してきたわけです。
本気で一つ一つを解決するより、時間をかけて対話を進めながら周囲の状況が自分たちに有利になってくるまで待つのではないでしょうか。
仮に合意まで行っても昨年、米朝間の合意が1ヶ月もしないで反古にされたようにいつでも理由を作って反古にする事はできますからね。
ここは韓国も浮き足立たないで、その背後にある北朝鮮の意図を探りながら慎重に対応してゆくべきでしょうね。