湖で愛を育んでいる4人の男達から
一人はずれたチョン・チノ
この5人の男達の中で
チノとチェ・ヨンだけが
すでに結婚していた
チノは パク・ケインを自分の女に
そして
チェ・ヨンは ユ・ウンスを自分の女に
して…………
それぞれの愛を 夫婦としての人生を
歩み始めたところだった
まだ 蒼く若く 熱く激しく
そして……危うく………
障害がありすぎる チェ・ヨン
仕事が忙しすぎる チョン・チノ
そんな 二人だけの刻を
刻みきれないところが
いろんなことを
自分の女にしてあげたくても
なかなか できないところが
ヨンとチノの愛を
自分の女に与えたい愛を
さらに激しくさせていた。
求めずにいられない二人。
アイシテル
アイシテル
アイシテル
愛して……る……
愛してる
その言葉を 囁き 撫で
そして 叩きつけなければ
自分の心 破裂して 粉々になりそうだった
このような愛
したことがあるのか?
このような愛
皆 するのだろうか?
このような愛
どうすればいいのか?
このような愛
もっと もっと もっと
もっとーーー
「あああああ」
頭を 掻 き 毟る
チョン・チノとチェ・ヨン
仕事中 そのようなことの
繰り返しだった
「集中しなくては」
「今目の前のやることに」
「全力投球しなくては」
そう あろうとすればするほど
自分の女のことが
頭から 離れず
本来の自分
今までの自分
求められている自分
ーーであろうとすればするほど
のめり込んむ
少し 仕事をしては
想い
至急の案件をこなしては
想い
部下に小言をいいながら
想い
想い
想い
想い
想い…………
「 ふっ 」
ぷるんっとした艶やかな下唇を
少し下に引き
出る その息
自分を自分で 嘲笑するかのような
その 笑いを含んだ その息
「俺は…………」
「いったい どうしてしまったんだろう」
「俺は」
「いったい どうなってるんだ」
「俺は」
「こんな 男だったのか」
改めて そんな自分に気づいた二人
こんな 男に なるなんて
今まで 仕事に身の入らないやつを
あれほど 見下してきたのに
一刀両断 切り捨ててきたのに
今の自分 どうなのだ
まさに それではないか
いや それ以下か
1日の大半を 自分の女への想いで
費やしている
そんな自分 どうにかしなくては
そんな自分 早く切り替えなくては
早く 元に戻らなくては
早く 本来の自分に
早く 本当の俺に
早く 早く 早くーーー
そう想いながら 結局はそうできず
刻が経ち
今 二人は ここで こうして
ともに Say Somthing の
音色を 奏でている
嬉しいはずなのに
今は二人の刻を 誰に止められることなく
育める
そんな 心待ちにしていた 刻なのに
なぜか その想い
セツナクテ………
セツナクテ
切なくて
その閉じた瞳
ピアノを 弾きながら 瞼をすっと閉じた
チェ・ヨン
バイオリンを 弾きながら 瞼をばさっと閉じた
チョン・チノ
あふれ出す 想いが
熱くて 痛すぎて
自分の心を 突き刺すように
キリキリと
痛くて
腹の中にある この大きな
風船のように丸く大きく膨らんでしまった
この想い
ふぅぅううぅぅぅうっっと
少しずつ 吐き出しながら
ようやく 一回 弾き終えた
バイオリンを弾き終わり
ピアノの上にそれを置いた チノ
側で見ていた パク・ケインを見つめ
静かに その肩を 抱く
ディープキスをする 二人
あの ゲームオーバーキスのように
チノは 求めた
ずっと仕事で離れ離れで
結婚しても なかなかゆっくりできない 二人
会うことすらも ままならない 二人
二人一緒に仕事ができる
いつも 一緒にいられる
そう想っていたのに
現実は まったく 違った
冷静で常識人できめ細かく突き詰めて
進む
そんな性格の チョン・チノ
石橋を 叩いて叩いて叩いて
叩き割って ようやく
「大丈夫だ」
そう確認して ようやく前へ進む
そんな チョン・チノ
周りのことが 目に入りすぎて
それを優先しすぎて
自分は 後回し
言いたいことがあるのに 言わず
誤解を生み……
だが 負けん気は 人一倍 いや
誰にも負けないほど 強すぎて
敵とみなしたものは
叩き潰してやる
勝ってやる
実は そんな闘志を いつも持っていて
めらめらと 揺らし続けていて
そんな 自分の想い
隠してない
相反するふたつの性格
そんな 危うい 魅力
まだまだ 若い 魅力
これからの 男
チョン・チノ
ケインの少し空いた唇
それを見て
躊躇するような 男では
なかったーーー
猪突猛進な自分
すっと降りて
気づいたら
有無を言わせず ケインの手を引っ張り
桟橋を後にして 草むらの方へと
向かっていた
蒼い草むらの中
ジュンピョが用意していた
いろいろなもの中から
すっと取って持ってきたブランケット
敷いてみる
ケインをそこに座らせ
その肩 抱きながら
ケインを 押し倒していく
「ケイン……」
「俺……ずっと……」
「会いたかった……」
そう ケインを見つめて
男の求める瞳で そう言うチノ
ケインも 頷いた
その唇が チノを求めていた
「いい………?」
そう聞きながらも
すでに ケインの上着のボタンを外し
その下のリブタンクトップに
手をかけている
外しずらくて 手間取るチノ
その手が焦る
「ねえ……ここで?」
「ねえ……恥ずかしい……私……」
そう言うケイン
「いいだろう?」
「あいつらも あそこで…ああやって……」
「俺たち 夫婦なんだし……」
「……ああ これ 取れない」
「ケイン なんでこんな太いの
着てるんだよ」
つい 本音を漏らすチノ
その言葉にケインは 少し正気に戻った
焦るチノは
肩紐をはずすのを いったん諦め
ケインの白すぎる肌に
真っ赤な唇を 這わせはじめる
ひたひたと その唇
少し 躊躇しながら
でも どんどん勢いを増しながら
這わせていく
時に ケインの瞳見つめ
そして 再び
ケインの 白く透明な肌に
自分の唇を
一つ
また
一つ
すっと 撫でていく
このまま……
このまま 進んでしまいそう
「ああ 止められない」
そう 想う
「ああ もうこのまま……」
そうも 想う
でも……
「やっぱ やだ」
そうケインが 言った
気になったのだ
やはり
この場所が………
この草むら そのまま勢いで
いってしまいそうになる自分
あの時の 自分……みたいで……
「こんな 高校生みたいな……」
「ん?」
「高校生みたいな?」
「なんだそれ どういうことだ」
今度は チノが一瞬で正気に戻り
躰を起こす
「お前 それ どういうことだ」
「まずい………」
そうケインは想ったが
もう 遅かった
その言葉 チノの琴線に触れてしまった
「チノ…こういうとこ
ほんと 細かいから……」
「はあっ」
そう ため息をつくケイン
「なんだよっ そのため息」
「俺の質問に ため息なのか?」
「お前は」
完全に 拗ねた……というか
みるみるうちに 怒り始めるチノ
さっと 立ち上がり
片付け始めた
ブランケットも
すでにぐいぐいと引っ張って
畳もうとしてる
「もう 用がないだろ」
そのような 気持ちをむき出しにして
無言で
唇を噛み締めながら
完全に 怒った顔 してる
まだ 横たわっていたケイン
あっけにとられて
「チノ!」
「違うのよっ」
焦って ケインは 言った
じろっと その顔を睨むチノ
「こわい………」
怒るとチノは本当に怖かった
急に何も言わなくなるし
言ったかと思ったら
自分を突き放すような言葉も
平然といって
でも そんな子供みたいな
チノが ケインは 大好きだった
気持ちむき出しで
大人ぶって 常識人ぶってるけど
本当は 子供で
子供のままの ストレートすぎるチノ
ケインは あのスケート場でのことを
思い出していた
可愛すぎる 二人
まだ デートし始めだった 二人
いい年して あんな
高校生以下みたいな
あんな 恋……
高校生以下の恋
夫婦になっても まだしてる
私 まだ こんなにときめいてる
ドキドキしてる
もっともっと
前よりずっと ドキドキしてる
こんなに 大人なのに
こんなに 素敵なのに
こんなに かっこいいのに
心は まだ少年のような チノに
私だけを想ってくれてる
一途に 想ってくれてる
チノに………
私の夫に………
トキメキ 感じてる
あのスケート場で
転んだ私を見て
「大丈夫か?」
「ばかだな」
そうエクボをつくりながら
ちょっと見下した表情で笑った
チノ
頭にきた私
そのチノの手を引っ張って
そしたら勢い余って
私の下敷きになって
そして 私の瞳見つめて
また エクボつくって
唇 噛み締めて……
そして…………
こんな表情して
大人の男の表情して
でもしたことといえば
こんな可愛いちゅっとした
キス
すぐに唇 離して
ふって 笑ってくれた
大人の顔を
少年の顔が
大人の仕草と
少年の仕草が
入り混じって
ころころ 変わって
そんなとこが たまらない
チノ
そんなことを
ブランケットを引っ張って片付けようと
しているチノをよそに
思い出していた ケイン
「ほら どけよっ」
そんな表情で
ブランケットをピンピン引っ張る
チノの仕草に
ケインは
「映画よ」
「映画でこんなシーン」
「高校生の時にみて」
「ええ こんなとこでするの?」
「そう思って……だから……」
「……でも して……みたかったのかも……」
「本当は……私……」
「本当に好きな人と…なら……」
「どこでもいい……そう想ってた……」
「あの時……」
疑わしそうな顔をしながらも
「本当か?」
「お前 いたんじゃないだろうな?」
「俺の前に」
そう じっと 見つめるチノ
「だって ホントウだし……」
そう想う パク・ケイン
「でも お前 アレだったから
それは ないと 想う けど……」
そう 顔を真っ赤にして言う チノ
そんなチノが やっぱり可愛すぎて
あの スケート場の時みたいに
ブランケットを持ってたその手
その大きな手
でも細い指
そして
温かい その手
引っ張った
勢いよく
そしてら
どさっと倒れこんで
あの時みたいな 可愛い表情を
やっぱり見せた
チノ
でも すぐに
また 怖い顔………
真剣な 瞳に変わって
「もう 逃れられない……」
そう想った
「逃して欲しくない……」
「チノが……欲し……い……」
思わず 自分の唇が
そう 言って た
チノ 本当に嬉しそうな顔をして
私 抱きしめると
ぎゅっと 抱きしめると
荒々しく 私の服
脱ぎ散らかすように
剥ぎ取って
そして
あの蒼い草むらに
投げ捨てて
虫とか大っ嫌いなのに
それなのに こんな野外で
裸になって
チノったら………
私の首筋 唇這わせて
そして 私 チノと………
「ああっ」
想わず 漏れる声
「待ってた チノ……」
もう止められない
熱くて 止められない
「チノ もっと……」
「もっと……欲しいのか?」
「俺が……?」
「俺が 欲しいんだな」
「俺だろ?」
「俺が だろ」
「何を言ってるの? チノは……」
当たり前なのに
チノ以外 誰がいるっていうの?
あなた 夫でしょ?
私の
チノこそ あの綺麗な人と
してるのよね
きっと
私の前に きっと
そうでしょ?
したんでしょ?
私以外の あの綺麗で可愛い 女と
「でも いい」
「今は 私だから」
「私が 奥さんになったんだから」
「私を 奥さんにしてくれたんだんだから」
「いい」
そう想いながらも 一筋の涙が
ケインの頬を伝う
つぅぅぅぅぅっと
チノは 自分を ケインに
突き立てながら
もっと ケインの中へ
そういうように どんどん
荒々しく 激しく
侵入しながらも
苦しそうな 切なそうな
瞳 しながらも
私の その涙 その綺麗な指で
すくってくれて
そして その唇で ふき取ってくれて
言った
「お前が 初めて だ」
「当たり前 だろう?」