真夜中のカンナム。
片側5車線のガラガラな道。
『Suddenly』を聴きながら
一人軽快に愛車を走らせる
ユンソン。
ハンドルを握りながら
次の仕事のことを考えていた。
「また面倒な話だな……」
一人つぶやく。
「しかし、どうしてこう次から次へと
自分のことしか考えない奴ばかり出てくるのか」
「俺も少しは楽になりたいのに…」
「これじゃ いつまでたっても
同じことの繰り返しで
ナナと新婚生活も送れやしない」
そう言いながら
自分と同じようにできる
キム・ナナの可愛らしい小さなえくぼを
思い出している。
まだ結婚もしていないのに
もう二人の新婚生活を夢見ているユンソン。
普段は冷たく無愛想な顔しかできないのに
気を許した者にだけ見せる笑顔は
見る者をこの上なく
幸せな気持ちにした。
だが普段は、こんな微笑み。
ふっと片唇を少し上に釣り上げ笑う。
微笑むというよりは、笑い捨てるような
そんな表情。
意地悪なイタズラを思いつき
それを想像して面白がるような
そんな笑みを
一人、浮かべた。
「まったくあいつは」
「片意地ばっかり張って
俺を護るなんて言って…」
「確かに普通の女よりは全然強いけど」
「確かに助けてもらったことはあるけれど」
「あの度胸と根性は、
俺よりも 全然すごいけれど」
「でも女なんだ」
「所詮、女」
「無理なんかするなって
あれほど言ってるのに
俺の言うことなんか全然聞かないで
どんどん向かっていく……あいつ……」
そう言いながら、
いつものように徐々に瞳が潤み
泣いたことなどなかったはずの
ユンソンのその瞳に
限界を超えてしまった
まん丸で透明な美しい雫が
ぽろっ
ぽろっ
と
一粒、そして一粒と零れ落ち
オープンカーの風を受け
後ろへと流れていく。
職業柄、女性へのキスは百戦錬磨……
のはずだったユンソン。
だが、実はそれはあまりにも仕方なくで
そうしなければならない時
その心臓はいつも冷たく低い音になり
どんどん脈打つスピードを落とし
ついには止まってしまいそうになるほどの
底知れぬ嫌悪感を感じていた。
笑みを浮かべそのようなことを
しなくてはならない自分が
嫌で嫌でたまらなかった。
だがあの時は……。
瀕死の重傷を負いながらも
行かずにはいられなかった。
心配で心配で
とにかくいてもたっても
いられなかった。
「俺の…俺だけのナナ……」
「初めてで」
「俺の人生唯一の女」
「ナナ……」
思わず、あの鼻にかかった
誰にも聞かせたことのない
自分の本当の
求める時の
甘い声が出てしまった。
本当に好きなものを言う時にしか出ない
あの独特な声が。
あの時も
そうだった。
「キム・ナナ…驚いただろうな……」
その言葉とともに
自分のその声が出てしまい
驚くユンソン。
「俺……ナナのこと……」
「こんなにも……」
思い出していた。
あの電灯の下で思わず抱きしめキスした時の
キム・ナナの小さく柔らかい躰と
ぷるんとした唇を。
甘ったるいコーヒーの味がした
初めてのキス。
初めてなのに、想いが止められず
あんなにも……。
右からも…左からも…。
キム・ナナの唇を思わず貪り
思いの丈を込めて
吸い上げた時のことを思い出し
思わず自分の唇が
その時と同じ動きをする。
スピーカーにつながれたiphoneから
♪So Goodbye♪が流れ始める。
別れてるなんて
離れ離れに暮らすなんて
もういやだっ。
そう想い始めたら想いが止まらなくなり
会いたい……
抱きしめたい
キスしたい…
……したい……
ナナっ!
そう叫んだ瞬間、
アメリカのとある街へと
ユンソンは時空を飛んでいた。
ニューヨークのシンファ支社で働いている
ジュンピョ。
今は副社長として社長の姉を助け
昔とは比べものにならない
働きぶりを見せていた。
もともと純粋で真直ぐで
素直な性格なジュンピョ。
彼のまだ何色にも染められていなかった
真っ白なキャンバスは
乾いた砂漠が水をどんどん吸収するように
さまざまな世界最高の経営学を学び
多くの優れたビジネスパーソンと
日々向き合うことで
英語もめきめきと上達
コミュニケーション能力も上がり
優れたビジネス戦略をも身につけていった。
ジュンピョのすごいところは
ネットワーキング能力に長けているところ。
特徴ある企業と企業とを結ぶ
ハートフルな人と人とを結ぶ
そのようなジョイントビジネスを推進することで
シンファの業績はまさに右肩上がり
このような厳しい時代にあって
急激な成長を遂げていた。
天から与えられたその秀逸なスタイル
端正すぎる顔 そして年齢にそぐわぬ
えくぼのできる百万ドルの笑顔で
ク・クジュンピョは
世界のリーディングカンパニーとの
アサイメントを
飛ぶ鳥を落とす勢いで山のように築いてく。
契約書にサインする姿も
堂に入ってきたジュンピョ。
今も大量の決済書類にサインをすると
ふっと 分厚い回転椅子を回し
窓から見えるニューヨークの夜景を眺める。
iphone musicを
チソンの♪「どうしよう」♪にする。
あの時の辛かった気持ちが思い出され
真っ白な 何の汚れもないその瞳が
みるみるうちに真っ赤になっていった。
「苦しかった………」
そう呟くジュンピョ。
若かったあの時。
初めての恋が
ジュンピョの人生となった。
ジュンピョが人生をかけて愛し抜く人
それが 初めての恋人 ジャンディだった。
好きという言葉では済まされない
こんなにも好きで好きで…好きでたまらず
愛しているのに。
どうしたらわかってくれるんだ お前は
この俺様が こんなにも好きなのに
どうして俺を見てくれないんだ
どうして素直に俺のことを
好きだと言ってくれないんだ
どうして小言ばかり言うんだ
どうして どうして どうして……
出てくるのはこの言葉ばかり
それまで こんなにも苦労したことなど
一度もなかったから
不器用なジュンピョは
どうしたらいいのか 本当にわからなかった
だから 真正面からぶつかっていくしかなった
自分のやり方で
自分がこうだと決めた方法で
強引にいこうとして突っぱねられ
突っぱねられては また向かっていき
苦しい恋を 辛い恋を
たくさん経験したジュンピョ
俺の出来る限りの事を精一杯やっただけなのに
うまくいかず 空振りに終わる日々
最初は俺を見てくれなくて
なぜなんだ
なぜ俺じゃないんだ
そう打ちひしがれながら
叫び続けた日々
その二重の大きな瞳を閉じ
ジュンピョはあのスキー場を思い出す
いつしか目の前にきらめく百万ドルの夜景は
ソウル近郊のスキー場の山小屋へと変わった
薪への火のつけ方すらも知らないのに
必死でつけて 濡れたジャンディの服を脱がせ
自分の服を脱いで着させた
すごく寒かったのに我慢して
そんなことどうでもいい
ジャンディが暖かくなればそれでいい
その一心だった
苦笑するジュンピョ
今ならもっとスマートにできるのに…
いや…今も変わらないか
もしまたジャンディに何かあったら
多分同じように どうしていいかわからず
とにかく必死にするだけ
俺は そうしか生きられない 俺は
そう思うジュンピョ
少し体が温まり落ち着いて
少し唇に赤みが戻り
もう大丈夫かな…そう想えた時の
あの嬉しさ
俺が ジャンディを助けたんだ
俺が ジャンディの命を救ったんだ
そう想えた 初めて想えた あの喜び
ジャンディは分かってくれたのか……
お前に 俺 キスしたい
いいか?
しても……
若い二人
そっと触れるような
どきどきしながら 互いの唇に
そっと触れるだけのキス
♪Howl 「Love U」♪ に曲が変わる
あの時の俺 本当に一生懸命だった
再び苦笑するジュンピョ
手の甲を唇に当て くっくっくっ
本当におかしそうに笑った
さらさらの長めの黒髪がはらんと
額を揺れる
トレードマークのくるくる髪は
矯正パーマを繰り返しているうちに
いつのまにか さらさらな黒髪に
髪質が突然変異して
今はパーマでもかけないと
あのようなくるくる髪にはならかった
ねえ…あの時のくるくるっ 懐かしいわよね
耳元でジャンディが囁く声が聞こえる
いつの間に入ってきたのか
すっかり美しく大人になった
でもいたずらっ子のようなくるんとした瞳は
前と全く変わらないジャンディ……
手を伸ばすジュンピョ
だが その手は宙を泳いだだけで
ジャンディを掴むことはなかった
先ほどまでの嬉しそうな笑顔が
一瞬で哀しみの瞳に変わるジュンピョ
ジャンディ ジャンディ
ジャンディ ‼︎
そう叫んだ瞬間
ジュンピョは 今ジャンディが留学している
アメリカのとある大学の
学内に立っていた
♪ユンナのNonsense♪がキッチンに流れる
チノがまた小言を言っている
お前 どうやったらこんなに汚くなるんだっ
ほらっ早くっ 掃除の準備するっ
そう怒った顔で言いうチョン・チノ
ちらちらと自分の顔をみながら
それでも 渋々いうことを聞く
パク・ケインを見て
にやりと満足そうに笑う
チノはこんな何でもない日々を
最愛の妻 パク・ケインとともに
過ごせるようになったことを
心の中で 涙が出るほど喜んでいた
事業家だった父を亡くし
会社は乗っ取られ
世間知らずの母と二人
絶対に 父のように成功してやるんだと
歯を食いしばって勉強し 仕事をしてきた
大学時代 結婚を考えた恋人もいたが
だが結局は別れ
それからは 仕事 仕事 仕事の日々
その仕事は報われたのか
すぐに地位を得られるような
そのようなポジションまでは
なかなか到達などできなかった
そんな時 千載一遇のチャンスが巡ってきて
出会ったパク教授の娘パク・ケイン
このようなずぼらで汚い女と一緒に住むなんて
とてもではないが
チョン・チノには考えられなかった
しかし 同じ家で生活するうちに
彼女の 素朴さと純粋さと一生懸命さと
そして何より
人に騙されても騙されても
まだ信じ続けるその心
そんな信じられないその性格が
まっすぐな瞳が
斬新すぎて 驚きで 自分にはないもので
いつの間にかパク・ケインから
目を離すことができなくなっていた
惹かれていった
見つめずにはいられなかった
あいつに酷い振られ方をして
見返してやるんだと頑張っているけれど
本当はまだ…好きなんだろ?
あいつのこと……
会社を乗っ取った奴の息子だから
敵対心を持ったわけじゃない
最初はそう思っていたところも
あったのかもしれないが
だが 俺は
俺は……
自分でも気づかないうちにケインに
惹かれて
惚れて
その気持ち止まらなくなっていた
我慢しようとしていたのに
あきらめようとしていたのに
隠していたのに
でも無理だった その気持ち
あふれ出してしまって
止められなくなって
♪2AM のLike a fool♪が流れる
この曲…流れると俺 もうだめなんだ
そう言って
唇を奪ったけれど
自信があったわけじゃない
むしろ 自信なんてなかった
ただ俺が耐えられなかったんだ
他の男に連れて行かれるお前を見るのが
他の男に それもあいつに
連れて行かれるくらいなら
俺が その前に俺が…お前を
すまない 急にあんなことをして
だけれど そうせずにはいられなかった
お前の唇 激しく奪わずには
これまで心の奥底にしまっていた気持ち
つい吐き出してしまって
すまない ケイン……
何度も何度もお前の唇を奪い続けた俺
迷いに迷ってやっと前に進んだ俺
今までだったら
踏み出していたかどうかもわからない
でも ケインだったから俺は
生涯の人と決めたから俺は
ケインを 俺の女にするって
俺は決めたから……
いいよなケイン
俺が夫でいいんだよな
俺 細かいけど 俺 うるさいけど
でも俺 お前が 好きだ
お前を 愛してる
お前だけを 見つめて
お前だけを 大事に
俺は生きていくから…
お前がいないと 俺の心は
ダメになってしまうんだ
俺自身が死んでしまう お前がいなければ
そうだ…今度 アメリカのとある大学で
設計の仕事があるんだ
一緒にいくだろう? ケイン?
そして二人はその後
シカゴ経由でとある街へと向かい
チョン・チノは新しい設計方法を学びはじめ
バク・ケインは
チョン・チノが設計した家にあう家具を
デザインするために
また新しい学びをスタートさせた
この5人の男の中で最も早く
その街に根付き始めていた
「キム・タン もう離して」
もう何度目のキスだろうか
タンのキスは激しすぎて
高校生の時からそうだった
あの初めての倉庫キス
いきなり 顎をつかまれ
そして 何度も何度も……
そして一度離したかと思ったら
また再び……
わたし こんなキス
まさか高校生で経験するとは…
いつも可愛いことしか いたずらしかしない
キム・タン
本当に子供みたいで
図体はでかくて 大学生か社会人かって
思えるほどなのに
その中身は
まるで小学生のいたずらっ子みたいで
そして一途で 一途すぎて
その気持ち その想い その愛
幸せすぎて だから私怖すぎて
絶対にこんな愛 いつか終わるでしょ
いつか壊れるんでしよ
私たちずっと一緒になんか
ずっとずっと
おじいさんとおばあさんになるまでなんか
一緒にいることなんてできないんでしょ?
絶対そう
だってこんな私に あんなに素敵なあなたが
ずっと一緒にいられるわけがない
でも私 それでもいいと思ったの
今楽しければ
今キム・タンと素敵な時を一瞬でも過ごせれば
それをずっと想い出に私 生きていけるから
多分 ずっと ずっと ずっと
キム・タンと過ごした
夢のような時を想い出に
一生 幸せに
一人で生きていけるから
そう思ってた
タン タン タンっ!!
好き 大好き 愛してるっ
どうして どうしてキム・タンなの?
あなたはどうしてタンなの?
なぜ 他の人ではないの?
普通の人なら こんな想いしなくてよかったのに
なのに私のところにぐいぐい来て
ずかずかと 土足で入ってきて
そして私も あなたに一目惚れしてしまった
あまりにも異次元の人で
こんな人がいるんだ 世の中には
そう思った
なぜ 私なの?
なぜ 私のことが好きなの?
なぜ 私でなきゃだめなの??
なぜ あなたはこんなに一途で
こんなに情熱的で
こんなに可愛くて…
こんなに私を守ろうと必死になってくれるの?
なぜ……
でももう 私あなたから 離れられない
離れなければいけなくても 離れられない
私を抱きしめて
今すぐ
抱きしめて
お願い タン………
おい 何涙を流してるんだ?
そう瞳からこぼれ落ちている涙を拭きながら
そうささやくタンに揺り起こされた
嬉しいのか?
はははっ
嬉しすぎるんだろ?
そうだよな 俺と結婚するんだから
キム・タンとお前 ようやく結婚できるんだ
これから俺とお前 毎日毎日 いつでも何回でも
いいな? 約束だぞっ
やだっていっても 離さないからな
そう言って あの 倉庫キスを再びするキム・タン
タン!
タンったら!!
キム・タンの胸を
ばんばんたたくチャ・ウンサン
声を出してるつもりで唇を吸われているから
声など出ない
すごい この人のキスは
どうしたらこんなに 情熱的に 激しく
いつも すごい勢いでできるのかしら
あああ 違うっ
ねえっ
血がまたでちゃうから
明日 結婚式でしょっ
ねっ タンたらっ
もうなんだ うるさいな
俺の好きにさせろよ
俺がしたいんだ
お前の唇 欲しいんだ
だからいいだろ?
ほら早くタンの先生
あの学に行かないと
移籍して タンを待ってるんでしょ
あ ああ
ウンサンのその言葉に
ようやく二人は銀杏並木の緑の木々を
ぬけながら 二人手をつなぎながら
歩き始めた
大きな木の下で再び熱いキスを交わす
周りのアメリカ人に
ひゅ~~~っと
声援を送られながら
もっともっと熱いキスを交わす
タンが ウンサンの唇を
自分の中に入れてしまうほどの
熱いキスを交わすから
もう 私……
唇の感覚
なくなっちゃった……
ウンス…ほら…早くここへ……
そう早く 早くと
ウンスを呼ぶチェ・ヨン
慌ててやってくるウンス
ようやく二人は 縁側に座り
きれいな満月を眺めはじめた
まんまるな月
縁側に二人座り 足をぶらん ぶらんと
させる
きれいね…チェ・ヨン
そう呟くウンス
月の明かりに照らされ
その白い肌が 本当にきれいに映る
ここへ
そうチェ・ヨンが肩をたたく
やだ…みんなが近くにいるし 恥ずかしい
少しむっとするチェ・ヨン
目がわずかに三角になる
いいから ここへ
再び自分の肩を トントンと指し示す
今度は少し強めの音で
まったく 子供みたいなんだから
そう胸の中で想うウンス
高麗一 元も含むこの近隣諸国で
最も強い男なのに
ウンスにとっては
年下の
甘えん坊の
すぐに拗ねる
ただの可愛い男
そして最愛の夫だった
ウンスは観念して
チェ・ヨンの側へとそろそろとより
言われたとおり チェ・ヨンの肩に
その頭を置こうとする
満足気な顔で ウンスの髪をなでながら
自分の肩に寄せるチェ・ヨン
そして再び満月を眺めた
きれいね
ウンスがもう一度感慨深気にいう
チェ・ヨンも
ああ きれいだ
とてもきれいだ
死んでもいいと思うくらいきれいだ
そう何度も言う
変な人 と思い笑うウンス
俺がきれいだといっておるのは
なんのことかわかるよな?
そうチェ・ヨンが聞く
なに?
月でしょ?
そう当たり前のような顔をして言うウンス
また むっとするチェ・ヨン
そして 黙ってしまった
どうしたの? ヨン?
慌てて聞くウンス
だから 俺の言っていること
なぜすぐにわからないのだ?
チェ・ヨンがそうむくれる
チェ・ヨンはいつもそうだった
いつも 動詞だけで 主語がない
だからウンスにはすぐにわからないことが多く
その度に
なぜ わからぬ
なぜ 理解してくれぬ
そうむくれていた
ヨン そこ そんなにむくれるところかしら?
そう言うウンス
だが 完全にチェ・ヨンは拗ねて
そしてウンスの手を引っ張ると
いきなりチュホンの背に乗せ
走り出した
チェ・ヨンが想いを馳せるあの場所へ
一気に駆け出す あの二人の思い出の場所
蒼い草むらへ
チェ・ヨンが行きたい愛の樹でまだなく
あの草むらへと
一気に チュホンを駆るチェ・ヨン
蒼い草いきれが二人を包む
流れるような緑
そしてあの草むらに着き
木々を分け入りそこへ入った瞬間に
二人は以前のように再び
互いの唇を貪るように求め合い
そして チェ・ヨンはその手をどんどん
下の方へ下ろしていき
二人は再び 立ったまま
初めての時と同じように
二人の激しい愛を求めあった
これでもか これでもかと……
チェ・ヨンはあの愛の樹の下での
口づけをしばし夢想する
そしてまた再び目の前のウンスを見て
挑んでいく
あまりの激しさに その場の磁界が歪み
チェ・ヨンがあの時思った通り
忽然と二人はその草むらから姿を消した
そこに残ったのは 二人が激しく愛し合った跡だけ
ちぎれた草と 二人の愛の匂い
それだけがその草むらに残された
チュホンが静かにその草むらの外で
青々とした草を 食みむ
まるで二人の帰りを待っているかのように
そんなこと至極当たり前だろう?
そのような顔をして 草を黙々と食んでいた
時を同じくして
まるでそれが運命かのように
アメリカの東海岸 文化と歴史の街
ボストンにたどり着いていた
ユンソン
ジュンピョ
チノ
タン
そしてヨン
これから同じ時 同じ場所で
どのような愛を育むのか
どのような愛を繰り広げるのか
それぞれの激しい愛
それぞれが求める女性
それぞれのキス そして 口づけ
アメリカのその場所で
5人それぞれの
情熱的でぐいぐいと攻める愛は
一体どのようなものなのか
それを見つめるのは
今日 29歳に
韓国の年齢で 満30歳になる
まだまだ若き 前途洋々たる
端正な顔なのに
可愛いらしいえくぼを持つ長身の男
イ・ミンホ
Vol.2 で
ミノはこの5人の愛をどう見るのか
ボストンの青々とした緑の
真っ青な池のそばに佇みながら
その5人の姿を
いまかいまかと
待ち続けている青年の姿が
そこにあった
この物語は
「ミノ29歳 Birthday Special
The Five kisses出会い vol.1」
として
2016年6月22日に
アップしたものを
再構成したものです。
そして・・・
これが見つからず3話、4話とUPしてしまいましたが
容赦無く最初の1話に戻ります・・・
すみませぬ。汗
しかし果たして・・
全く需要がないような・・笑