鹿児島市内の公立中学校が性同一性障害(GID)と診断された1年生の女子生徒(13)に対し、4月から男子として通学することを認めたことが26日、分かった。埼玉県で小2男児(8)が女児としての登校を認められたことに続き、学校現場の判断で本人の意思を尊重した形だが、当事者や保護者からは行政としての対策を求める声が上がっている。

 母親や学校によると、生徒は2歳ごろから体の性が女であることに違和感を覚え、中学入学後はセーラー服を着ると「気分が悪くなる」などと訴え、登校できない日も増えた。両親は昨年7月に学校に相談し、9月から体操服での登校が認められていた。

 さらに今月20日に主治医からGIDの診断書が出たことを受け、学校は新年度から男子制服での通学を認め、学級名簿での性別も変えることなどを決めた。トイレは職員用の女子トイレを、更衣室は他の生徒とは別の部屋を使うことなどを検討している。

 母親は今月24日にクラスの保護者会で事情を説明し、在校生には3月の卒業式以降に校長から話す予定。校長は「前例もなく対応に迷ったが、他県で同じようなケースがあったことから踏み切った。今後の課題にはその都度対応し、解決していきたい」と話す。

 家族によると、生徒は「やっと自分の望む制服を着ることができる。とてもうれしい」と喜んでいるという。母親は「本人はとても苦しんでいたので、学校に感謝している。周囲に理解されず悩んでいる子はもっといると思う。教育委員会や県は専門医療機関と連携して相談窓口を設置してほしい」と訴える。

 学校現場での対応が続いていることについて、文部科学省児童生徒課は「個々の事実関係をよく確認しながら、国としても対応を考えていきたい」としている。【村尾哲、丹野恒一】

 ◇ことば 性同一性障害

 身体的な性別と心理的な性別が一致せず、体に強い違和感を覚えて悩む疾患。正確な統計はないが、国内に少なくとも1万人以上いると推計される。04年に一定の条件を満たした成人に対し、戸籍上の性別変更を認める特例法が施行され、08年までに1263人が認められている。

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