久しぶりの連載です。というか、全43首を紹介しきれないうちに、もう最終回が目前だったりするのですが…(汗)

 

年月の流れは早いもので、5月のいま、間近に迫る夏に胸躍っていたり、また鬱陶しい梅雨に気分が沈んだりしていても、気がついたらあっという間に季節は秋、そして大晦日を迎え、年が明けたら初詣、節分の豆まき、ひな祭り、、、と、今の時点で思っている以上に、時間は早く過ぎていきます。特に、何も心が揺れ動く瞬間がないと、その傾向はより加速します。

「あ~あ、恋してないなぁ、いい人と結ばれなかったなぁ」なんて気がついたらいい歳だった、、、

クロワッサン症候群と呼ばれるそうですが、これは最近に始まったものではなく、実は1,000年以上前から存在していたようで、「我が国の歴史に残るイイ女」としておなじみの小野小町もこのように語っています。

花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに

「桜の花を散らせてしまった長い雨を見上げて、キミに会いたい、声が聞きたいよ…なんてつぶやいていたら、いつしかこんな歳、、、今キミはどこで、何してるの?キミの記憶、全部消したはずなのに、、、」

モテまくっていてお相手のカレには困らなかった彼女のこと。次から次へと、抱き合っては投げ捨て、抱き合っては投げ捨て、ときめかない恋を繰り返す中で、年月ばかりが無意味に経ち、気づけば白髪もしわも目立ってきて。アンチエイジングなんて影も形もないこの時代、そんな人生への後悔がにじみます。しかし、それも、忘れられない、思い出すと心ときめくロマンチックな恋、そんなひとときをともにした本命のカレあってのこと。イイ女の歴史に名を刻む彼女が、本気で惚れたという、そのお相手とは一体誰で、一体どんな恋だったのでしょうか?

一方では、こんなことも。

住之江の 岸による波 よるさへや 夢の通ひ路 人目避(よ)くらむ

住之江といえば尼崎センタープール、びわこと並び関西では競艇で有名ですが、これは、恋愛成就の神様としておなじみの住吉大社。歌よみの神様としても知られていました(あ、古典文学界隈ではこっちの方が有名かな?)。もちろんお船に夢を託して一文無しになってしまったおじさんの嘆き節では断じてございません(笑)

「よる」が繰り返されているのですが、「波が寄る」と「夜」の掛詞。

「夜の夢にも、人目を避けて、愛しのハニーが出てきてくれない!ついでに舟券も当たらねぇ…

会ってくれない彼女のことで、一人ときめいている空しさに気がついたときの、何ともやる瀬ない思いが見て取れます。会ってもらえない、デートの夢も見られない、というならば、そもそもその彼女というのがまったく合わないコだったのかもしれませんね。ただ、まだ歳をとる前に気がついているだけ、「未病」で済んだというべきでしょう。

お相手が夢に出てくれば、こんなことに。

夜もすがら もの思ふ頃は 明けやらで ねやのひまさえ つれなかりけり

寒くて長い秋の夜なのに眠れず、窓から覗きこむ月明かりも憎たらしいばかり。
コチラ → 2013年10月26日配信 をご覧ください!

そしてデート当日の待ち合わせ、カウントダウンに心ときめく。

来ぬ人を まつほの浦の 夕なぎに 焼くや藻塩(もしお)の 身もこがれつつ

「あと○分!あと○秒!楽しみ!愛しい!」なんて。
コチラ → 2013年10月12日配信 をご覧ください!

そして、楽しいデートの後には。

長からむ 心も知らず 黒髪の 乱れて今朝は ものをこそ思へ

イケメンでモテモテのカレ、「他のコに盗られちゃわないかなぁ…」「あのコと連絡とってるの?私が一番のGirlfriendなのに…!」なんて不安。自慢の黒髪の寝ぐせが何よりそれを物語る。
コチラ → 2013年5月19日配信 をご覧ください!

一方、デートをドタキャンされてしまうと。。。

やすらはで 寝なましものを さ夜ふけて 傾(かたぶ)くまでの 月を見しかな

折角気合入れて、お気に入りの服で、メイクもバッチリ、髪も完璧に巻き直したのに、パックもしたのに…!
コチラ → 2013年4月14日配信 をご覧ください!

このシリーズも、次回でいよいよ最終回!お楽しみに!!