喪失の物語。
しかし、人が死ぬ……。
どの話も印象深く、心に残るのですが、読んでいるとやりきれない気持ちになります。
本多孝好さん。
現在、好きな作家候補の一人です。
『眠りの海』
両想いに見える永遠の片思い。
人は相手を愛すのではなくて、相手の幻想を愛すのでしょうか?
愛の力ってすごい。
共に死のうと思えるまで人を愛せたら……それは本当に幸せなんだろうな。
いや、それとも悲しいのか……。
『祈灯』
幼い少女には辛すぎた現実。
重すぎる罪。
ただただ悲しい物語。
幽霊ちゃんの最後の行為は、償いだろうか。
火事の現場にいる子供を、自分の妹と重ね合わせたのだろうか。
やはり、命の物語はそれだけ重たいものになりますね。
同じ状況に陥ったことがあるわけではないので、共感することは出来ないですが、その悲しみや重たさ辛さが伝わってくるようです。
序盤は、「Story Seller3」に収録されていた湊かなえさんの「楽園」と全く同じ流れなのに、全く異なる結末を迎えるのが印象的です。
『蝉の証』
「みんな一人で生まれて、一人で死ぬんだよ」
みんな死ぬのは怖い。
相川さんの心境はなんとなく分かるものの、計算高いその行動は、見ていて少し哀れに思えます。
寧ろ、「騙されている」と知りながら、孫にお金を渡して死んでいった向井さんの方が幸せだったのではないでしょうか?
時々、亡くなった人達のこと思い返そうと思います。
『瑠璃』
何も死ぬことは無かったんじゃないでしょうか。
ルコは、少し……いや、かなり突飛な性格ですが、そんな自由奔放な少女は可愛いと思います。
しかし、それ以上に、主人公の純粋さに感動すら覚えました。
『彼の棲む場所』
果たして、サトウくんは実在したのか?
それとも、彼が生み出した幻だったのか?
人の心には、魔物が潜んでいます。
普段、いい人だと反動も大きいという話も聞きます。
やっかいなものです。
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