前回の記事でも触れましたが、日本における医薬分業率が年々増えていっています。現在は80%を超えています。
一昔前は、診察後病院の中で薬をもらう「院内調剤」が主流でした。今は処方せんをもらって調剤薬局で薬をもらうのが一般的になってきています。
ここまで医薬分業が促進されているのは、国として進めたい理由があるからですが、今回は調剤薬局から見た医薬分業について書いていきます。
【医薬分業のメリット】
1.薬剤師の専門性の発揮
2.無駄な薬の削減
3.在庫管理の適正化
1.薬剤師の専門性の発揮
院内調剤の場合、調剤をするのは専門知識のない病院スタッフであることが多いです。
医薬分業により薬剤師が調剤をすれば、
・目の前の患者さんの状態に適した薬か、使い方や薬の量は合っているかが確認できる
・お薬手帳(今はマイナンバー情報でも)で他に飲んでいる薬との飲み合わせを確認できる
・患者さんが持っている病気と相性が悪い薬か動画を確認できる(緑内障や前立腺肥大症が有名)。
・薬に関してちょっとした聞きたいことがあった時、わざわざ診察を受けて医師に聞かなくても、電話一本で薬剤師と直接会話ができる。
※行ったことのない薬局でも応じてくれます
などのメリットがあります。
医薬分業が進むことで、薬の専門家である薬剤師が身近にたくさんいるようになってきているので、安全に薬を飲むためにぜひ有効活用してほしいです。
2.無駄な薬の削減
飲み忘れ、自己判断による服用中止などで余っている「残薬」は、金額に換算すると全国で約500億円あると言われています。
保険を使って調剤をしている薬がこれだけの金額を無駄にしているのは、国にとって大きな損失です。
そこで国は薬剤師に対して、薬の無駄をなくして医療費削減をするように働きかけています。
薬局で患者さんから「薬を飲み忘れて余っている」との申し出があったり、会話の中で「もしかしたら飲めていないかも」と感じた時は、薬局から病院に処方日数変更を依頼して残薬調整をします。
飲み方理解が出来ていなくて飲めていない場合、もらったけど何となく怖くて飲めていないなどの事例があった場合は、理解できるまで薬剤師が丁寧に説明します。しっかりと服用することで患者さんの症状も改善しますし、残薬も発生しなくなります。
無駄な薬が減ることは、国にとっても患者さんにとっても双方にメリットがあることで、薬剤師が大きく貢献できる業務の1つだと考えています。
3.在庫管理の適正化
調剤薬局の重要な業務の一つに、「在庫管理」があります。医薬品を「多過ぎず少な過ぎず」適切な量を薬局に置くように管理をすることです。
院内調剤の時はクリニック内で在庫管理が必要です。Drが在庫管理をする場合もありますが、診察の合間に正確に在庫状況を把握して管理するのは、大変手間がかかります。
院内調剤の場合は、限られた在庫スペースの中で採用品を選ぶ必要があるため、Drが治療で使いたい薬の全てを置くことができず、置いてある薬の中から処方薬を選ぶ必要があります。そのため本当には使いたい薬があるのに、院内採用薬の都合で処方できない場合が出てきます。
医薬分業にすると在庫管理は調剤薬局が担っているため、Drは採用薬の都合を考えずに好きな薬を処方することができます。薬の在庫状況や発注のことも考えずに、診察に集中することができます。医薬分業は在庫管理だけを見ても、クリニック側にもメリットがあります。
以上、医薬分業のメリットを大きく3点にまとめましたが、このように医薬分業には様々なメリットがあります。薬剤師にとっても専門性を発揮し、医師や患者さんに貢献できる機会が増えます。
医薬分業によって身近に薬剤師が増えるのだから、ぜひ薬剤師や調剤薬局有効活用して欲しいと思います。
次回は医薬分業のデメリットについて触れたいと思います。