どんなバンドやグループも必ず終わりが来る。

そして“解散”というけじめをつけることもあれば、

「あの人は今?」みたいな感じになってしまう。

 

 

ミュージシャンの終わり方って、

考えてみると2パターンある。

 

ひとつは時代の流れに取り残されてしまうパターン。

もう一つは内部崩壊で終わってしまうパターン。

 

 

両方というものあるよね。

 

セックスピストルズがいい例。

パンクに皆が飽き、レゲエやニューウェイブの新しい流れが起こったこと。

度重なる騒動や、メンバーの脱退、シドの死によってバンドとして再起不能になったこと。

 

 

ABBAも二つのダブルパンチを食らい、時代から消えてしまった。

 

 

有名すぎるこのグループについて、既にいくつもブログに書かれているので、

頂点を極めたABBAの終焉について触れたい。

 

 

ABBAは1974年に「Waterloo」がヒットしたが後が続かず、当時は一発屋扱いだった。

 

1975年のアルバム3作目「ABBA」から「SOS」と「Mama Mia」が立て続けにヒットすることで世界での人気に火が付き、

1976年に「Dancing Queen」が世界中でNo.1と大爆発する。

 

そこから出す曲、出す曲すべてヒットし、アルバムも世界各国でNo.1を獲得しつづけてきた。

 

そんなABBAが壊れていったのは、彼らの関係性にあった。

 

ABBAは二組のカップルによるグループで、

アグネタとビョルンの一組は結婚し、一児をもうけていた。

(片方のフリーダとベニーは後に結婚する)

そして二人目が生まれたことでグループ崩壊が始まる。


 

ツアーや音楽活動を活発化させたい旦那。

子供との時間を増やしたい妻。

二人のすれ違いが軋轢を生み、

修復不能になってしまった。

 

そして1979年にアグネタとビョルンは離婚した。

まさにABBAが絶頂期での出来事だった。

 

ビョルンはその時の経験を歌にした。

 

ABBAとして、

初めて感情をあらわにしたその曲は、

メンバーも認める最高傑作となった。

「The Winner Takes It All」

 

※別れのバラッドを、アップテンポのディスコビートに載せる画期的な音作り。

 

 

アルバム「Super Trouper」も世界中で大ヒット。

1曲1曲にパワーと勢いがあり、

離婚の影響などみじんも感じさせなかった。

 

 

 

しかしビョルンは、離婚から半年で再婚。

もうひと夫婦のフリーダとベニーも離婚となり、暗雲が漂い始める。

 

 

そんな気まずいなかで次回作の制作に入る。

 

メンバーも制作中、苦痛だったと言わせた新作が発表された。

「Visitors」

※ジャケットからして、ものすごく暗い。

 

 

 

 

全編通して暗く、

ネガティブな歌詞の多いアルバムは

イギリスなど一部の国でヒットするものの、

これまでのセールスから考えても

失敗作に近かった。

 

曲にも前作のようなパワーや一体感が消えてしまっている。

 

また音楽としての完成度は高いものの、

時はデュラン・デュランやカルチャークラブなど

新世代が台頭していた時代。

ABBAの音はいかにも古臭く感じた。

 

 

Slipping through my fingers

 

 

※ABBAらしさを残した1曲。

 

 

関係者もファンも「ABBAは終わった」と感じた。

 

しかし、彼らは決断できなかった。

 

 

 

新たにアルバムを作ろうとするものの、

女性陣がソロ活動を始めるなど、

ABBAとしての活動に気力が生まれず、

ベストアルバムの発売に切り替え、2曲新曲を録音した。

 

最初にカットされたシングル「The Day Before You Came」は、

ABBA史上最も暗いシングルといってよかった。

ABBA人気の強い国でわずかにヒットするものの、アメリカではチャートインすらしなかった。

 

※暗い。沈鬱といっていいこの曲をなぜシングルにしたのか。

 

 

もう1曲の「Under Attack」もリリースされるものの、

もはやABBAの曲がチャートをにぎわす力はなかった。

この曲がオリジナルとして、最後のシングルとなった。

 

 

※このイギリスのTV出演が、グループとして最後のパフォーマンスに。

このあと、解散宣言することなく、グループは自然消滅した。

 

 

ABBAらしさをかろうじて残しているが、

精一杯無理して、

作り笑いしたかのような曲。

 

エネルギーを使い果たしたアーティストが、

最後の気力を振り絞って、

ファンに別れを告げるサヨナラソングとなった。

 

 

 

ABBAは終わった。

 

 

彼らは歌とともに人々から忘れられた存在になった...かに見えた。

 

 

(続く)

 

 

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