プログラミングできるナノマシンが開発された。
これにより、人々の生活様式から考え方までが激変した。
後に、最終産業革命と呼ばれるようになったものだ。
このマシンの出現により、まず、製造というものがなくなった。
プログラミングしさえすれば、どんなものでも作る事が出来るようになったためだ。
家具、家電、宝石、車、果ては航空機、ロケット、何でも作成出来た。
このため人類は、ナノマシンを作成する人々、プログラミングする人々、食料を作成する人々、の3種類に分かれた。
ただ、ナノマシンを作成する事が困難だった。
目に見えない大きさであるため管理にも注意を要し、地球上のあらゆる物資をこれに置き換えるにはかなりの時間が掛かると思われた。
ある日、1人の科学者がふと、気付いた。
プログラミングできるという事は、自分のコピーを作成する機能を持たせると、製造さえ不要で、いくらでも自動で増殖できるのではないかと。
そこで、以下のようなコードを組んでみた。
以下を永遠に繰り返す
もし、自分と同じ物を作れる材料が周囲にあるならば
自分のコピーを作成する
たった3行のコードだったが、完璧そうに見えた。
早速、周囲に材料となりそうなものを置き、このたった1つのナノマシンを起動してみた。
すると、1つが2つになり、2つが4つ、4つが8つ、と、どんどんと増殖し、実験は大成功だった。
これでナノマシンの製造工程さえ不要になる!!
と大喜びしたこの科学者だったが、ここで、このマシンを停止させることが出来ないことに気付いた。
「永久に繰り返す」というループから抜け出すコードを実装していなかったのだ。
慌てた科学者は、このマシンを破壊しようと、既に周りにあるものを食い尽くして猫くらいのおおきさになったものをハンマーで叩き壊した。
と思ったが、そのハンマーさえ材料にどんどん大きくなる。一回のループで倍になるため、猫から犬、犬からライオン、ライオンから象、といった感じでみるみるうちに大きくなっていった。
科学者さえ材料となって一瞬でナノマシンに変換されてしまった。
この増殖は倍倍の勢いで、ほんの1分ほどで地球全体がナノマシンと化してしまった。
これだけ巨大なマシンとなると、次第に自分である程度考える知恵を持つようになった。
例の3行のコードのうち、「もし」の条件がこのままではいつまで経っても成り立たない。
これでは存在意義がない。
そこで、細い触手を伸ばし、他の星へ移動することにした。
すぐに月がマシン化された。
次は火星だ。
しかし、触手を伸ばしても届かないと判明した。
そして気付いた。なにも、地球があった場所に居座る必要はない。
それからは宇宙空間を漂うことにした。
そして、天体にたどり着くと、マシン化する。
これを永遠に繰り返した。
こうして、全宇宙がナノマシンと化し、星も、生物も、何も無い、究極の平和が訪れた。