ひとこジュアンの惚れっぷりもすごいけど、
マリアがドン・ジュアンを好きになるのも
相当突然だし、のめり込み方もなかなか。
普通、物語では、二人が惹かれ合う理由とか、
馴れ初めとかがあって、
だから観ているほうも納得するんだけど。
そういうのが全くないのよね。
(なんせ亡霊に連れて来られただけ、笑)
でも、(ドン・ジュアンは前回書いたけど)
マリアが盲目なくらい恋に落ちるのも、
違和感ないんだよね。
みさきマリアは、最近風に言うと、
生きづらさを抱えた女性。
あるいは、朝ドラ(虎に翼)風に言うと、
「はて?」と日々感じている女性というか。
婚約者のラファエルとか、友人と一緒にいる時の
そんな普通の生活をしている時のみさきマリアが、
幸せに見えないんですよ。
でも、不幸でもないところがポイント。
周りからは普通が一番、あなたは幸せと思われていて、
おそらく自分でもそう思っていて。
婚約者に結婚したら仕事をやめてと言われてたり、
周囲と自分の価値観が違ったり、
そういう小さなモヤモヤがありながら、
でも周りが正しいんだろうと思いつつ、
毎日暮らしてる。
序盤のマリアはそう見える。
だからドン・ジュアンに出会って、
普段自分の周りにいる男性とは違う雰囲気を感じることで、
パーっと世界が拓けて、生きづらさから解放されて、
ドン・ジュアンを運命の人と思う、というのが
分かるんだよね。
これが、みさきちゃんの演技力なのか、
演出の妙なのか、
ひとみさコンビのパワーなのか分からないけれど。
今回のドン・ジュアンはラブ要素が強めで、
二人が愛し合っていることが腑に落ちないと
どうにもならないので、
ひとこジュアンとみさきマリアで良かったです。
(というか、この2人だからラブ要素強めに見えたのかな。卵が先か鶏が先か…?)
ドン・カルロのらいと。
やっぱり舞台映えするわぁ。
スタイルいいー、脚長いー、長髪似合うー。
らいとは役によってハマる、ハマらないが分かれる
印象があるのですが、ドン・カルロは良かったです。
ドン・ジュアンの世話を焼く以外やることないのか、
とは思うけど(貴族なんてそんなものか)、
らいとカルノの、あわちゃんアルヴィラへの恋心が
いじらしかったので、
2人のアナザーストーリーが観たいと感じました。
(らいとは、まっさらな貴公子より、
闇を抱えた役が合うと思うんだよなぁ。
そういう役でガッツリ恋愛物やってほしい)
騎士団長のあかさん。
登場シーンの勇ましい掛け声がカッコいい。
兵士たちとのタップダンスもいいよね。
それにしても運命の人に巡り合わせてくれるなんて、
結婚相談所開いたら繁盛しそうだわ。
(亡霊さんは婚活アドバイザーではありません)
ラファエルの天城れいんくん。
れいんラファエルはモラハラ度低めなので、
命からがら生還したら婚約者が違う男と付き合っていた
という状況が普通に可哀想に見える。
(初演のひとこラファエルは、そんな境遇をもってしてもヤバい奴で「みちるちゃん逃げてー」って感じだったもんなぁ)
ラファエルは可哀想だし、
でもマリアがドン・ジュアンに惹かれるのも分かるし、
と、今回の花組版は、みな頑張って生きているのに、
辛そう…というドラマとして見応えありました。
(全員ヤバくて登場人物誰も共感できない雪組版も、これぞ舞台でしか観れないドラマ!で好きです)
あわちゃんエルヴィラ。
純粋で無垢なエルヴィラで、
こちらもひたすら可哀想でした。
まさに修道院から出てきたという清楚だし、
いい奥さんになりそうな雰囲気満載なので、
ドン・カルロの良さに気付いてくっついちゃえよ、
と何度も思いました(是非2人の後日談を…)
(くらっちエルヴィラには沸かない感情。ただし怨念が愛を超越したくらっちエルヴィラも私は大好き)
ゆりちゃんのアンダルシアの美女の細さにおののき、
美女だけどやっぱり大きいよ!と思い、
じゅんこさんパパは怖いし、
美穂さんマダムも存在感あるし、
ベテラン勢の皆様の活躍もカッコよかったです。