今月の開陽丸の一冊は、
「もの食う人びと」
著者/辺見 庸 発行/角川文庫
「もの食う人びと」
著者/辺見 庸 発行/角川文庫
2016年の年明け早々、
カレーチェーン店の廃棄業者に廃棄を依頼した
冷凍ビーフカツが横流しされ、
スーパーで販売されていたというニュースが報道されました。
このニュースを見た時に、
20年位前に読んだこの本のことを思い出しました
人間にとっての喜びであり、苦しみであり、
切っても切れない「食べる」という行為。
豊かな国と貧しい国に間にあるその「大きな差」を、
自らその国に行って、実際に食べ、見て、
感じてのレポートがこの本です。
そして、この本の一番最初のお話しこそが、
「残飯を食らう」という
バングラデシュのダッカという場所でのエピソ-ドでした。
その地での最初の食事は、駅前広場の屋台。
「インディアカ米にしては腰がなく、
チリリと舌先が酸っぱい、水っぽい」
ということを感じて食べていた時、
突然、「ストップ!」と地元の人に声をかけられます。
「それは、食べ残し、残飯なんだよ」と。
「ダッカには金持ちが残した食事の市場がある。
残飯市場だ。卸売り、小売りもしている」と続けます。
日本では、大問題になっている問題が、
バングラデシュでは日常であり、
貧しい人たちの貴重な「食事」になっているこの現実…。
当時も、この本に衝撃を受けましたが、
今、改めてそのことを思い出しています。
日本では「横流し」したことに対しての
倫理観が事件として問われていますが、
それと共に、大量の食料を廃棄しているということも
実は大きな問題であることを忘れてはいけないと思います。
「食べる」ということは、
「生きる」ことに直接つながることであることを
改めて考え直していかなければ、
いつか大きなしっぺ返しがくるのではないかと思いました。
