大臣たるもの国家ビジョンを持ち、大局的観点で政策を立案し、是々非々で推進していく。

これはたとえ論功行賞、或いは派閥内の順番で閣僚になったとしても、誠心誠意勉強して経世済民の志で臨むべきである。自分がこれまで関わったことのない領域であったとしてもだ。

 残念ながら小泉環境相はその器にあらず、と見た。

 

 某経済週刊誌のインタビューで来年以降の環境政策について問われていたが、その半分は自分が過去やったことの自慢話だ。

正直この人の手柄話なんか聞きたくない。将来の環境問題を人類的見地からどう考え、どう政策に落としていくかという覚悟が聞きたいのだ。

 実行面では細かい話も必要だろう。しかし今や環境問題で世界或いは人類が危機に瀕している。個人の話をしている場合ではないのだ。

 にも関わらず自分が環境相になってからやってきたことを話されても「この人物が環境問題のトップで大丈夫か?」という不安しかわかない。

 そもそも「環境問題はセクシーだ。」と発言した人だ。その時点では準備勉強不足で気の利いたことが言えなかったかもしれないが、あれからずいぶん時間が経っている。

 世界的環境問題の大家に教えを乞うなどして真摯に勉強すれば、それなりのことは言えるはずだ。この間一体何をしていたのだ?

 

 昨今の環境政策も欧米に煽られてあたふたとつけ刃で出してきた内容だ。

太陽光発電然りEV然り原子力然り、電池にしても日本はアドバンテージを持っていた。しかし現在多少進んでいるのは個体電池くらいだろう。CO2削減目標にしても大甘だった。黒船よろしく外圧でようやくまともな目標を立てたが、これまで国家ビジョンを持たず対処療法でやってきたツケが回っているのだ。

 親子ともども大衆迎合的なウケを狙うのが得意だが、さほど中身がない。もっと地道に努力して力をつける必用がある。

 

 この点平井デジタル相はたいしたものだ。昨日のTVでDXについて本質をズバリと語っていた。曰く「本来戸籍謄本とか住民票などの紙は形式的なもので必用ない。そこに乗っている情報が重要なのだ。」と発言された。

 目から鱗が落ちる思いであった。確かにお役所は戸籍謄本とか住民票や全部事項証明書などといった書類をやたら要求する。しかし必要な情報は姓名、生年月日、出生地などの情報で、これらがスマホなどで簡単に安全に取り出せれば謄本などの書式は必用なくなる。

 

よくある腹立たしい件で謄本が4ケ月前発行で差し戻しを受けることもある。

「アホか!1ケ月で状況が変わる訳ないだろ!」と怒ってもムダだ。謄本などは3ケ月以内に発行したものとするのがルールだ。

 平井大臣は今やっている業務をそのままデジタル化しても効果がないことも理解されている。自分はかつてITコンサルもどきのことをしていたので何となく勘所がわかるが、それを平井大臣自身の言葉でわかりやすく説明することができる。この人は本物だ。

 民間人の力を活用しようという点でも本気だ。なにやら「回転ドア方式」というらしいが、官から民へ、はたまた民から官へと人材を流動的に交換して回すというこれまでの民間登用とはひと味違った施策を打ち出している。

 この平井デジタル相と河野行革相を選んだところまでは菅首相も見る目があったが、コロナ対策、特にGoto問題で馬脚を現した。

 

 自分はかつてこのブログで「菅内閣は地道に成果を上げて来年の総選挙、総裁選に実績を持って圧勝するだろう。」と書いた。

 しかし、残念ながら訂正せざるを得ない状況だ。