先日大会があり、K君が代表の高校生に一発入れた。

予選ではあったが、まぐれで勝てる相手ではない。

残念ながらその後2連敗で予選落ちしたが、初金星という訳でめでたい事に変わりはない。

その後某支部で顔を合わせたが、K君の事をあまりよく思ってない人にまで「O君に勝ったんだってね」と褒められていた。

そんなやり取りを、僕はいつものじいさんと対局しながらぼんやりと聞いていた。

2局目くらいにK君がじいさんの横に座り、僕の対局を見ていた。

あっさり負けてこれで終わりかと思いきや、絶好調のじいさんは3局目に突入しだした。


この日のじいさんは冴えていた。

馬が縦横無尽に駆け回り、時には盤上の銀を事もなげに自分の駒台に置いた。

じいさんが去った後で、K君は僕の銀が相手の駒台にワープした事を教えてくれた。

「これが本当の将棋だ」

と僕は答えた。


金星と書いたが、棋力差はせいぜい2段くらいのものだ。

勝ってもなんら不思議ではない。

それほどにK君の成長は目覚ましい。

Oさんに6枚落ちの手ほどきを受けたのが2年前。

そこから1年半、2段になるまで2枚落ちをしていたように思う。

平手が解禁され半年、今ではちょっと強い3段はある。

足踏みする様子はまだなく、棋力は上がり続けている。

2段まで2枚落ちをしていた子は、県内では僕の知る限りK君しかいない。


Oさんは教える際、3年待ってほしいと言う。

3年時間をくれと言うのだ。

だが現実は、1年を待たずして皆離れて行く。

平手で勝てないからだ。

3年先ではなく、目先の勝ちを欲する。

親も子も。

その様子を僕は4年に渡り見てきた。


今低学年を中心にOさんが講座を開いている。

なかなか好評で、何人かは1年の壁を突破すると思う。

皆結構やるのだが、中でもM君というのが抜けている。

講座が2枚落ちに差し掛かった際に多面で指したが、このM君だけが二歩突っ切りの仕掛け局面まで、間違い1つでたどり着いた。

これはすごい事である。

この子が来年倉敷に行けなかったら、僕は将棋をやめるべきだろう。