濱田芳通&アントネッロヘンデル/メサイア@川口リリアホール、休憩を含めてだが丁度3時間、ヘンデルの音楽を堪能した。最初シンフォニーから濱田さんは大きな動きで音楽を牽引していく。テオルボの音が極めて特徴的でリズムを際立たせる。合唱も初めから勢いがあり美しい。アルトは全てカウンターテナーの方で、エネルギーを強く感じる。

 アリアは春のマタイ受難曲の時と同様交代で皆さんが歌い繋いでいく。トップバッターはTn中嶋克彦さんで、23番をエヴァンゲリストのように歌う。Alt新田壮人さんは6番のアリアを情感豊かに。面白かったのは16Rejoyceのアリア(中山美紀さん)、通常は2拍子だが、今回は8分の6拍子で演奏され、自由なヴァリアントも散りばめられていた。その前の12Pifaではコンマスの天野寿彦さんがバグパイプを吹くという他団体の演奏ではまず見られないような面白いものもあった。ここでは濱田さんもリコーダーを吹いていてとても美しかった。第一部終わりの方の17番の二重唱、弥勒忠史さんの鋭くも深い声による1番の後、ソプラノ金沢貴恵さんがヴァリアントも付けて可憐に歌ったのも良かった。

 第2部では中嶋俊晴さんによる20despisedのアリアが深い声で素晴らしかった。ハレルヤでは3連音がどんどん上がっていくところの力強さやテンポが微妙に変わっていくところも新鮮。第3部での中山美紀さんの2つ目のアリア40I knowもとても美しい。4243番トランペットのアリア(バス松井永太郎さん、Tp阿部一樹さん)ではオルガン席からも2本目のTpが響き彩りを添えた。ハレルヤ、最後の合唱でのTim(井手上達さん)の効果も抜群。その他合唱の部分、Wonderful,Surelyという言葉に通常は強めのアクセントが付くが、今回とても柔らかい響きで演奏されたことが印象的だった。

 今回、リズム感が本当に素晴らしかったが、英語のリズム感によるものだろうか。ドイツ語だったらこうはいかないだろうなと思った次第。濱田さんが語感を音楽で的確に表現したということだと思う。今回も通奏低音の皆さん(武澤秀平さん、高本一郎さん、布施砂丘彦さん、上羽剛史さん、曽根田駿さん)素晴らしい。特に、休みなしで淡々と表情変えずに弾き続ける武澤さんのバロック・チェロ、凄かったです。