税理士試験 税法科目選択について | 元エンジニア税理士のブログ

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  税法との相性と費やせる時間

今回のテーマは税理士試験を受ける人なら

全員が通る道で、全員が悩むところです。

 

そして、税理士になるまでの期間に

一番大きな影響を与えるものでもあります。

↑これは間違いありません!

 

最初に強調したい点は

「向き・不向き、そして状況(どれだけ時間を

費やせるか等)に大きな個人差がある」

ということです。

 

私は

「簿財の知識があるうちに法人税をやって

 おく方がいい」

「法人税はボリュームが多いから時間が

 あるうちにやっておく方がいい」

という専門学校の先生の言葉に自身も確信を

持って初の税法に法人税を選びました。

(その前年に消費税を3ヶ月やっていて、また初学

からやるのが嫌だったのと、法人税は実務で使い

そうというのもあります)

 

ただ、私は転職して1年目に日商簿記1級に受かり

3年目で税理士試験の簿財に受かったことで、

明らかに一気に仕事が増えました。

異業種からきて経理も法律もド素人だった私に

対して、辞めずにこの道で行かせる、と周りが

思ったのかもしれません。

 

「税理士試験の戦績の詳細」でも書きましたが、

事務所に来る新規顧客を5人も先輩がいるのに

一番下っ端の私が次々と任され続けたのです。 

 

 

法人税は並外れてボリュームが多いです。

そして法律嫌いのエンジニアの思考回路が

抜けておらず、勢いだけで簿財に受かった私が、

激務で時間がとれない中で挑んだのは本当に

無謀だったと思います。

 

さらに、個人的な意見ですが、税法は会計科目の

勉強法では全然ダメだったので、初の税法が

法人税というのも私には無理がありました。

 

  平均点を越えるまでの負担

かといって、他に何がよかったのが、

あまり科目を受けていないので確信はもてません。

ただ、国税徴収法だけは受けたので言えます。

 

よく言われることですが、ミニ税法は量が少ない分、かなり極めないと受からないので簡単では

ありません。

たまに、基礎論点が出されて初学者でもなんとか

なるときはありますが(R1年、R4年など)、

決して楽ではありません。

 

ただ、明らかに法人税よりは負担なく合格レベル

たどり着くことは出来ました

こういってはなんですが、受験生のレベルが

全然違いました。

(向き不向きもあったのかもしれません)

法人税は、専門学校で講師をしていた人でも

専念していた人が居た次元です。

講義も私服の人が多かった記憶があります。

(思い込みかもしれませんが)

 

定期テストで平均点付近にたどり着く労力が

全然違いました。

合格するには集合から抜ける、つまり

山(分布)の上位側に居ないと

話になりませんよね。

なので、山の頂きに行くことが

まずは最低ラインになります。

合格圏内に行くには、そこからさらに、

上位3割までは上げる必要があります。

 

平均点がどれくらいの労力で取れるかどうかが

1つの判断になります。

これは後から考えても本当に大切です。

 

テストで上位3割や本試験合格のためには

それから更なる努力が必要ですよね。

 

僕は法人税は時間がないこともありましたが、

当然1年目に平均点にいくこともほとんど

なかったのですが、2年目もほとんどダメでした。

合格した簿財は1年目で時々、国税徴収法は1年目

からまあまあ平均点を確保していました。

(↑向き、不向きもあるかもしれません)

 

  答練の実力と本試験

「答練と本試験は全く別」という話はありますが、

その話をすると論点がずれるので、あくまで

感覚な話になりますが、答練で平均点くらいの

実力でそのまま行くと本試験A判定(50点台)

というのが私の感覚です。

(本番に強い、弱いはあります。私は強い方でした)

 

上位1割→多少失敗しても合格できる?

上位3割→そのまま実力(ちょいミスのみ発生)

     を出せれば合格

     大きなミスをすると厳しい

平均点→本試験で実力の100%を出しきり、

書いたところはミスがほとんどない→合格

 

というのがざっくりした感覚です。

大原の本試験の解答解説の最後のページの

9月からの科目選択の判断基準のところで

直前答練の上位何割だったかというのが

出てきますね。

 

習得具合で、次の科目に進んだとしても戻った

ときのロスの大きさがどうかということもある

とは思いますが、やはり普段からできているか

どうかは本試験の出来にも影響すると思います。

(まれにヤマが当たるなどはあるかもしれませんが)

 

  自分の適性や指向性

また話が戻りますが

税法には必ず相性があります。

1年目の出来がイマイチだった場合には、1回目は

思い切って科目変更もありだと思います。

(2回目は慎重にした方がいいと思います。

 点々とすることになったら意味がないので)

 

興味がもてて、出来るだけ頭にスッと

入ってくる科目を選んだ方がいいと思います。

 

私は法人税は未だに好きになれません。

(だからこそ、勉強した分だけマシになってて

実務で少し生かせますが)

今、5科目を受け直すとしたら、

国徴、所得、酒税にするかもしれません。

 

国徴・・・院と平行でなければ1年で受かっていた 可能性があるから

所得・・・明らかに法人税より理解しやすいから

酒税・・・酒好き、かつ元々技術者なので、化学

っぽい話は頭に入りやすいから

 

私は院と平行するという時間的制約と自分の適性

を照らし合わせて、B→A→Aと来ていた法人税を

捨てて国税徴収法に切り替えましたが、

2科目持ちから、その3年後に税理士になれたので

あのときの判断は正解だったと思えます。

 

余談ですが、固定資産税は満点勝負と言われ、

性格が緻密でない私が計算で高得点勝負に挑む

のは無謀だと感じたからです。

なんとなくですが、受験も長期化している人が

溜まっている印象なのと、周りでもネット上でも

固定資産税に受かった人をあまり聞かないのも

引っ掛かったところです。

 

(さらに余談)

ちなみに科目選択をする上では、実務を考えて、というのはあるかもしれませんが、税理士がたくさんいる会計事務所、税理士法人などに居れば、比較されるので関係ありますが、そうじゃない人にとって、税理士になった場合の比較対象は資格のない職員のみ、もしくは較対象はないに等しいと思います。

(税理士試験の法人税の知識の半分以上は実務で

使ってないという実感です。)

 

顧客が税理士試験に求められるレベルの税法知識の差で税理士を変えることはないと思います。

 

仮に職員と比較になったとすると、そんなマニアックな知識ではなく、担当として、社会人としてのスキルの方が差が出ます。

 

少なくとも、税理士試験に受かった人は、

税法の質問などで即答ができなかったとしても

しっかり調べて法律を紐解いて説明できるはず

です。

それで十分だと思います。

また、私は深い案件までも即答を求めるような人

は相手にしない方がいいと思っています。

そういう案件こそ、しっかり調べた上で対応しな

いといけないはずです。

 

負け惜しみでなく、皮肉でもなく、本当に疑問点として挙げますが、試験免除者が大半になってい中で「5科目受かったこと」「国税(法人、所得、相続、消費)に受かっていること」で何か差別化出来るのでしょうか?

(お客さんは官報合格か否か、または合格科目を見て税理士を選ぶのでしょうか?)

 

出来るのであれば逆に知りたいです。

その逆に上記を満たさない人として頑張るところを見つけようと思います。

 

私自身、「法人性に受かっていた方が正々堂々と

している」ような錯覚に捉えられていた時期が

あったので言いますが、本当に時間の無駄だった

と思います。

 

よく言われることですが、実務で使うレベルの

ことを学ぶのにそんなに時間は必要ありません。

 

出来るだけ早く、また無理をせず

「税理士になること」だけを判断基準にして、

科目選択をすることをおすすめします。