母の気になる言葉とは、当店で最後までいた事務員さんについての事です。
スーパーにいる時に、知り合いの方から逃げ遅れたかもしれないという事を聞いたそうです。
私と父はどう逆算しても隣町にある家に着いているはずだと思いました。
ただ、妙に信憑性のある話で、私は、私達と一緒に避難させるべきだったとも後悔しておりました。
そんな時に父は「多分、大丈夫だと思う。道路の瓦礫が撤去されたら確認に行く。もし仮に彼女の身に何かあったら、俺はこの商売を辞める。」
この言葉を聞いた時に、父が経営者として大切にしている部分を強く感じると共に、経営者の責任の重さについても考えさせられました。
また、その事務員さんは人柄も大変素晴らしい方です。そんな方を守ってやれなければ、人として後悔の念が残り商売どころではないと思っていたのだと思います。
幸いな事に、震災から3日後に隣町の避難所で無事が確認する事ができ、母は涙を流したそうです。
私も大丈夫だとは思っておりましたが、気持ちが晴れやかになりました。
しかし、まだまだ情報不足なため友人知人はどうなったのか分からず、ラジオからは甚大な被害の話ばかりで、不安ばかりが募る思いでした。
そんな時、思わぬ訪問者が来ました。
つづく