去年の12月初旬頃だったかな。
朝、出勤した時、会社の敷地内で職場に向かう途中に唐突にトラックの運転手のオジサンに「お嬢さん」って声をかけられた。

見たことないオジサンだったので、最初はシカトしたんだけど、またすぐに「お嬢さん」って言うから、仕方なく振り返ったら、「ここの会社の職歴長いよね。俺、昔から見てるから知ってるんだよ」みたいなこと言ってきた。
「いや、そんなに長くないですよ。途中で辞めて、出戻りしてるんで。でも、戻ってから10年近くなりますけどね」
「そうか。じゃあ、結婚して育児が落ち着いたからまた働きだしたのか」
「いいえ、結婚はしたけど子供はいないです」
みたいな会話をして、私はすぐに職場に入った。

その数日後に、またオジサンに会って、少し話をしたんだけど、どうやらそのオジサン、定年を迎えて年金を貰いながら働いてるようだった。
で、話の流れで、私が退職したいって言ったら、もったいない的なことを言われて、何か楽しみを作りなさいって言われた。

年末になると、オジサンに会うことも増えて、会うたびに「楽しみを作りなさい」って言われた。

その頃には、年が明けたらTHE 南無ズのライブに行くことが決まってたから、それを楽しみに生きてきたんだけど、年が明けて数日が経って、漠然と「ベース弾いてみたい!!」と思うようになった。

1月の初旬はオジサンを見かけてたけど、私が「ベース弾きたい!ベース欲しい!」って強く思うようになってから、オジサンを見かけることがなくなった。

なんか、私が趣味を見つけて人生を楽しむために、神様が出会わせてくれたかんじがする。
私がベース弾きたいって思ってから、マジで見かけなくなったもん。
出会いから見かけなくなるまでの期間、ちょうど繁忙期だったから、シニアの運転手として来てたのかなって勝手に思ってるんだけど。

ただ、私のことを昔から知ってるわりに、私はオジサンのこと知らないんだよね。
まぁ、トラックの中から見てたのなら私が知らないのは当然なんだけど。

まぁ、そんなわけで、オジサンと出会わなければ、私はベースを買うことも弾きたいと思うこともなかったというお話でした。