ロシア軍はウクライナとの戦争で1ヶ月につき約5千人の犠牲を出していると予想されています。
 これは現代戦の感覚からすれば、降伏してもおかしくない犠牲者数に上ります。
 それは、このペースでいくと旧ソ連時代のロシアがアフガニスタンに対して行った約10年間の戦争の犠牲者数と肩を並べてしまうからです。ウクライナとの20ヶ月に及ぶ戦争で既にそれだけの犠牲者を出してしまっています。
では何故、プーチン大統領は戦争をやめないのでしょうか?それは犠牲者数の価値観、相場観が古いからだと思います。
 確かに第一次世界大戦では、一つの会戦や戦いだけでもそれ以上の犠牲者数を出しました。かつてのスターリンもアメリカと核戦争になった場合の犠牲者数を試算した上で第二次世界大戦の一つの戦いである独ソ戦の犠牲者より少ないと言って戦争を辞さない姿勢を示しています。(独ソ戦3700万人の犠牲者)。それと同じ感覚でこの宇露戦争を考えているのではないでしょうか。
 現代戦の感覚ならロシアの犠牲者数は降伏してもおかしくないはずです。
 テクノロジーが発達した現代でもロシアが被る犠牲は大きく、人口の少ないロシアにとってはなおさらです。
 しかし、それはウクライナも同じであり、第一次世界大戦でもそうであったように画期的な打開がない限りは長期化し、そうなれば、まだロシアに有利なのかもしれません。
 このペースならロシアは既に10万近い将兵が亡くなったことになりますが、それでもロシアもウクライナも戦線が膠着状態になってしまいました。
 それは両軍ともに兵器に差がなくなってしまっているからではないでしょうか。
 第一次世界大戦を例えに出せば、あの大戦で多くの新兵器が生まれ実戦に使われました。それは戦車であり、飛行機であり、潜水艦であり、毒ガスに及びます。しかし、それでも決定的な勝敗には繋がりませんでした。何故なのか?
 それは、もっとも効果的な運用方法まで見出せなかったからです。
 今回の戦争もドローンやAIなどの今までに無かった兵器が投入されていますが、両軍ともに手探りでその運用方法を見つけようとしています。第二次世界大戦で活躍したドイツのある名将は航空機と戦車、歩兵を活用した機動戦術を発案したことで、初戦のドイツ第三帝国が無類の剽悍さを発揮することが出来ました。かつての大日本帝国もそれまで無かった空母を主力とする機動部隊を世界で初めて確立したことで、戦争序盤はアメリカやイギリスを圧倒し、世界最強の空母艦隊を効果的に運用しています。
 新兵器があってもそのもっとも効率的で火力が出せる運用方法まで見つけないと、この膠着を突破する手段は無いかもしれません。
 そして、それは歴史的に見ても、過去の経験や何かしらの逆境、制約があったからこそ見出しており、この宇露戦争が終わった後に確立される可能性が高いと思われます。
 日本もこの件は他人事ではなく、戦後初となる空母型護衛艦を保有したからといって安心せず、かつての大日本帝国海軍のように、その運用ノウハウまで現代戦で通用するものを取り戻さないと、効果的な活躍は出来ないのかもしれません。