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タイトルとざっくりとした登場人物しか思い浮かばない自称・タイトル作家が送る ”クスッ”と笑えるタイトルだけをお届けします。
※内容はハッピーエンド限定で自力でお願いします。
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今日お届けするタイトルは、 ”湯守と夏の日” です。
優子は戦争を知らない。
しかし、毎年 終戦記念日になると湯守の秋山さんの事を思い出す。
子供のころの夏休み、二家族で行った温泉旅館の大浴場。
誰もいない女風呂は、子供たちの貸切となり、小学生の兄も幼稚園児の弟たちもこっそり集結し
大喜びで遊んでいた。
そこへ、浴場を管理する年配の男性が入ってきた。
子供たちは叱られると思ったが、男性は優しく微笑みながら もくもくと仕事をしていた。
大はしゃぎしていた子供たちは、後ろめたさから男性に話しかけた。
「おじいさん 何してるの?」
「湯守の仕事をしているんだよ」
そこから始まった子供たちの質問攻撃。
そして、話は湯守の秋山さんの戦争体験に及んだ。
秋山さんは戦争前は床屋さんだった。
体があまり強くなかった為、戦時中も軍隊ではなく 軍属として兵士相手に床屋をしていたそうだ。
戦後は床屋の仕事は一切やめ 今の湯守の仕事をしているとの事。
秋山さんは、床屋だった事を 子供たちに話した後、控室から床屋道具を持って来て見せた。
子供たちの「髪切ってみて 顔剃ってみて」 とせがむ声にうれしそうに微笑んで、
「どーら 皆 横に並んでみな」 と言いながら、今も手入れのされた道具を取り出し、
一人ひとり丁寧に仕上げていった。
秋山さんはたくさんの昔話をしてくれた。
戦争の話は辛くて恐ろしい。
しかし 子供たちは黙って真剣に聞いていた。
部屋に戻って すっきりした子供たちの髪と顔をみた親たちは驚いたが、
当時はそれを大事と受け取る親も少なかった。
東京に戻った子供たちは旅館宛てで秋山さんに御礼の手紙を送ったが、返事はなかった。
優子は、数十年以上たった今でも
8月の終戦記念日には、あの夏の日の戦争の話と 湯守の秋山さんの事を思い出す。
今日は終戦記念日です。
世界の平和を心からお祈りします。