「大型犬のチワワは存在しないが、大型犬のような性格のチワワは存在する」

米マサチューセッツ大学の研究チームが、「犬の性格や行動の特徴の違いは、犬種の違いとはほとんど関係ない」との研究成果を発表しました。

読売新聞によると研究チームは、純血種約9,000頭と雑種約9,000頭の犬についてその飼い主から性格や行動を聞き取り、さらに約2,000頭のゲノム解析を行い、「犬の性格の違いのうち、犬種の違いで説明できるのは9%程度で、育った環境などによる個体差が大きいとみられる」という結論に至ったそうです。

我が家の愛犬ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアには、一般的に以下の性格特徴があると言われています。

◆ウェステイの性格：好奇心が旺盛で、利発で活動的。陽気で、勇気がある。自尊心が高く、独立心が強いが、友好的。

ティティもアスティもこの性格に当てはまっていますが（でもよくよく考えると、この性格特徴はほかの多くの犬種にも当てはまるかも）、ティティはまったく物怖じせず行動を開始する、アスティは慎重に観察してから行動に移すという違いがあります。

ブログテーマ「散歩が楽しくなる！愛犬と楽しむ健康散歩⑦⑧⑨」にも書きましたが、スタンレー・コレン（加ブリティシュ・コロンビア大学心理学教授）は、多くの犬の専門家（ブリーダー、訓練士など）の協力を得て、133種の犬種別の性格特徴を分類しました。（出典『理想の犬の育て方　原題：Why Does My Dog Act That Way? 2008年文藝春秋社発行』）

コレンの分析によると、「犬の性格は犬種によって大きくちがう」としています。

ただしコレンは、”性格”という言葉のほかに”気質”という言葉があり、”気質”は「”性格”よりもっと原始的なものを差し、個体の活動レベルや刺激に対する感応性といった、行動の基礎的な面が中心となるもの」で、”気質”と”性格”を同じ意味で使うと宣言しています。

コレンの分析を「犬種による犬の”気質”の違い」だと理解すると、マサチューセッツ大学の「犬種による犬の”性格”の違いはない」という研究発表は腑に落ちます。

私は、犬種による”生まれながらの気質”の違いはあり、その上で個々の犬の性格は幼年期の学習で形成され、その後のライフサイクルでの経験で変化していくと思っています。

牧羊犬、使役犬、猟犬、ハウンド、ポインター・セター、愛玩犬といった犬種分類による愛犬の気質を把握した上で、愛犬の性格形成期（社会化期）に細心の注意を払って愛犬と過ごすことが大切です。

愛犬の犬種による気質と一緒の生活で形成される個別の性格特徴をよく理解しておくことは、散歩中や家庭内での愛犬の行動予測や、愛犬と安全で幸せな生活を送るためにとても役立ちます。

人イヌといきる(42)（犬の性格は犬種と無関係なのか）