ドッグランスタッフをしている公園で昨年の夏痛ましい事故がありました。

私は直接立ち会っていないのですが、園内を大型犬と散歩されていた方が、愛犬が急に歩かなくなったということで手助けを依頼してこられたそうです。

動物病院に連れて行きましたが、けっきょく体調が回復せず、その夜急逝してしまったそうです。熱中症による急性多臓器不全ということでした。

当日は暑かったものの、猛暑日ではなかったように記憶しています。園内は土や芝生のあそび場がありますが、通路は大部分がコンクリートやアスファルトになっています。

散歩で飼い主と愛犬がそれぞれ体感する温度には、大きな差があります。

夏場はアスファルトは直射日光で熱せられ、80℃以上にもなることがあります（手のひらで触ってみると、熱くて3秒も我慢できないことがある）。

人は二本足で靴を履いており、熱はおもに体の上の方にある頭や顔の部分で感じますが、犬は四つ足の裸足（肉球）で、低い位置にあるお腹の部分が高熱に晒されます。

人が暑さを感じるときには、犬はすでに全身が猛烈な暑さに晒されているということです。

犬は人と比べて体温調整が苦手です。犬には汗腺が肉球などの体の一部にしかありませんので、パンティングと呼ばれるハァハァといういつもより早い呼吸によって気道から水分を蒸発させ熱を逃がします。

体温の上昇がパンティングによって抑えられないと、あっという間に熱中症に罹患してしまいます。

犬は人より熱中症になりやすいと言われています。熱中症が怖いのは、休息や水分補給などで体温が下がったとしても、腎臓や肝臓などの大切な臓器に回復が困難なダメージを受けてしまうことがあることです。

犬はその動物としての特性から体調不良をすぐには示しませんから、歩かなくなったりぐったりしてしまったときはもう手遅れの可能性もあることをよく認識しておかねばなりません。

猛暑の時期は白昼の散歩はぜったいに避けるべきです。朝晩の人が涼しいと感じる時間帯でも、アスファルトの温度を手の甲で触って確かめ、愛犬の呼吸や歩くペースを細かく観察し、普段と少しでも異常があれば散歩を中止するなどの判断が必要です。

基本的に散歩が大好きな犬たちは、猛暑の日でも外に出たがると思います。でもそんな愛犬を熱中症から守ってあげられるのは、飼い主しかいないのです。

人イヌといきる(41)（犬は人より熱中症になりやすい）