まだ面会ができた
コロナ前のお話です
「 徘徊 」
徘徊の
患者さまが
搬送されてきた
お薬の量を
間違えたそうだ
付き添いの
ご家族は息子さん
二人暮らし
毎日面会に
来られるけど
患者さまは車椅子に乗り
その傍らで
息子さんは
なぜかベットで爆睡
お話しを伺うと
何回も徘徊で
警察に保護され
自宅で縛って
おくわけにもいかず
いつも息子さんは
睡眠不足だったと
伺ってからは
息子さんを
起こさずそっとしておいた
私の亡き
縁の薄かった実母は
54才で脳内出血し
脳幹近くの出血で
意識が戻っても
麻痺はなかったけれど
後遺症から
言葉使いも記憶も失い
なにもかも別人になった
当時は介護保険など
国の支援はなかったから
当時私は20代独身で
変わってしまった母を
1人残して
仕事に行く訳もいかず
仕事を掛け持ちして
私は母の分として
生活費を毎月姉に渡し
結婚して専業主婦をしていた姉が
母を引き取ってくれた
ある日
姉の家から
母が突然居なくなって
改札をすり抜け
新幹線に乗り
生まれ育った西日暮里を
目指したのだろうか
東京駅の改札で
保護されたんだよと
お話してからは
息子さんと
ぐっと
距離が近くなった
退院の日
ちょうど病院の玄関で
息子さんにお会いした
お大事にしてくださいねと
言おうとしたのに
私の口から出た言葉は
お母さん連れて
死んではだめだよ
わたしの
正直な気持ちだった
何度も死のうと
思ったけど大丈夫だよと
息子さんは苦笑い
いまどうされてるかな
ひとり抱えないで
支援を
受けられていますように
真心のお仕事がんばります
