2023年12月の鑑賞リスト。例によって「DVD以外で初見のみカウント」というマイルールを適用。作品の頭には年間の通し番号をつけ、( )内は月間累計を表す。さらに、個人評価を★1~5で表し、作品の公式ホームページや予告編にジャンプするURLをつけた。


198(06)『窓ぎわのトットちゃん』★★★★★


小林校長先生の、子どもたちの目線に立ちきる教育方針に深く感動。子どもたちに怒っている姿が描かれない小林校長が唯一声を荒げる相手がトットちゃんの担任であり、その理由も、ある生徒の気持ちを考えずに軽はずみなことを言ってしまった先生を責めたということから、本当に素晴らしい教育者なのだと思い、涙が止まらなくなってしまった。


もしもトットちゃんがトモエ学園で小林先生に出逢わなかったらと考えると、師との出逢いというものは本当に重要だと思う。役所広司の演技も素晴らしい。


小児まひを患う泰明ちゃんのさまざまなエピソードも印象深い。特に、相撲でトットちゃんに勝負を挑もうとした彼に、小林先生が「土俵を変える」ことを提案し、腕相撲対決となった時の勝負の行方は、一人前として扱ってほしいというやすあきちゃんの気持ちが伝わってきた。


トットちゃんのお父さんがバイオリニストでコンサートマスターを務めていたこともあり、家庭がものすごく洋風だということに最初は驚いたけれど、戦争が進むうちに「パパ、ママ」が「お父様、お母様」と呼び方を変えるように父から言われるシーンや、お母さんの服装がどんどん変わっていく様子、極め付けは赤い屋根のお家が建物疎開で引き倒されるシーンで戦争の影響を身近に感じることができた。


トットちゃんを取り巻く世の中も、「時節柄」という言葉で華美な服装や装飾品が規制され、配給もどんどん不自由になっていくところが描かれていた。空襲で焼夷弾が落とされ、火事になるシーンはあっても人が殺されるシーンはないので、戦時中の不自由さについて親子で語り合う材料としても適しているかもしれないと思った。


https://tottochan-movie.jp/