10年という物差し。


人によっては長かったり、短かったり。


でも、個人的にはあっという間だったと感じている。

身近なところでいえば、SNSが世の中を席巻しているし、携帯電話もガラケーからスマホへ。

ITの進化は2019年現在もとどまることを知らない。


何故こんなことを思うのかというと、

10年前の今日、AKB48が「10年桜」というシングルをリリースした日。

この選抜メンバーから残っているのはほんの数人であることに時の流れを痛感する


この辺りからアイドル戦国時代というものが始まったように私は感じる。


当時のAKB48はまだまだ世間には浸透しておらず、ちょっとずつ人気が拡大していく時期だった。


今でこそ全国はたまた、海外まで広がりをみせているAKBグループも当時は姉妹グループでSKE48が誕生したくらいの時期。


一回でもAKBグループの握手券を購入したことがある人はわかると思うが、今ではネットでCDを予約すると特典という扱いで推しの握手券を購入するのが標準となっている。

しかし、当時は秋葉原のAKB劇場に並んで買うという感じだった。


学生だった私は放課後に並びに行った記憶があるが、人気1、2位を争っていた前田敦子や大島優子も買えた。

JR線の高架下沿いに列を成して順番に購入していくスタイルも今となってはとても懐かしい。


今ではプレミアな劇場公演も、選べば入れるそんな感じだったような。

それでも人気メンバーが出演する時は抽選が外れたりしていたが。


グッズやCD販売も今は秋葉原ドン・キホーテの5Fで行われているが、当時はまだ8Fのカフェ跡地で行われていたし、ベンチも置いてあった。

ちょっとした休憩スペースみたいなもの。

本当、今では想像がつかないのだが。

「ヘビーローテーション」で世間のヒットを確実にしてから、

紅白出場までのヒット街道を駆け上がるあの感じは言葉で表すには難しいが応援をする側としてはとても充実しており、なによりも手にとってグループが拡大していく喜びを感じることができたのでとても楽しかったという思い出に尽きる。


しかし、10年も経てば、環境は変わる。


秋葉原もオタっぽい人よりも海外からの観光客が増え、駅の再開発も終わった。

当時はまだ電気街の面影があったし、歩行者天国では路上パフォーマンスも日常茶飯事であった。


サブカルチャーの一端でしかなかったアイドルという文化の進化を肌で実感できたのはまさしくこの10年。


今も売れているアイドルグループといえばももいろクローバーZ(当時はももいろクローバー)

メジャー1stシングルの「行くぜっ!怪盗少女」

今でもカラオケで歌われる定番ナンバー


彼女たちも週末はAKB劇場とは反対のUDXビル内の劇場で公演を行っていたりして、

今となってはアイドル戦国時代といわれるが、何かと祭りの前夜の雰囲気で、多感な時代の私には渋谷、原宿とはまた違う刺激がそこにはあった。


いろいろな人や文化が入り混じりつつもまだそれが確立されておらず、全体が試行錯誤している雰囲気である。


応援という概念も80年代アイドルとは違う、会いに行けるアイドルが爆発的に増えたのも約10年前くらいから。


夏の風物詩となったTOKYO IDOL FESTIVALも2010年が初開催で、最初はお台場ではなく、品川のステラボールなどで開催された。

メジャーアイドルと地下アイドルの垣根を超えて様々な楽しみ方が徐々に増えたのもこの10年。


俗にいう、アイドルの大衆化。 


会いに行けるのはもちろんのこと、2010年代の後半になるにつれ、パフォーマンスが重視されていく時代に。

ライブも楽しめて、接触も楽しめてという風潮にシフトしていく。


AKB48と同じく秋葉原を拠点にスタートしたでんぱ組inc.

メイドがライブパフォーマンスをするというカルチャーを大ヒットさせたのはこのグループ。

武道館など大きな会場を埋めるほどの一大勢力に。

サブカルチャーを地で行き、メンバーの素直な気持ちを吐露する歌詞やパフォーマンスをするグループの特性はAKB48とはまた違うファン層を作り出した。


アイドルは秋葉原を超えて若者文化の発信点、原宿文化の一つとしても更に飛躍する。

まねきケチャ

原宿系アイドルで武道館公演を行ったアイドルグループ。

可愛いだけではなく歌もしっかりしているという点でアイドル×パフォーマンスを見事に体現したグループの一つだ。


神宿

神宮前原宿が由来。全員が可愛いと話題に。

全国をくまなくライブを行い、全員を楽しいと言わせるライブはライブアイドルの王道である。


kawaiiが世界的なブームになりつつある中で

上記ようなグループも多数誕生した。

どちらかといえば男性の趣味であったアイドルが若い女性にも自然に受け入れられていくようになっていったのだ。


現在、パフォーマンスという点に重きをおくと、一番売れているのはBiSHであろう。




渡辺淳之介の強烈なプロデュースもさることながら、全力のライブパフォーマンスは正に参戦するという言葉が相応しい。


更に今となっては、世界を股にかけて活躍する、BABYMETALも最初はさくら学院の派生ユニットの一つでしかなかったが、その音楽とパフォーマンスが受け、今に至る。

(さくら学院は接触を行わないことが有名なグループであることには留意だが)



バックバンドも本気であるからこそ、対極にいると思われたロックやメタルのファン層までも取り込んだ。


どちらのグループもネットでの世間の賑わせ方がヒットの要因であることからも、この10年間でアイドルの在り方の一つで、AKB48が世間で売れた時よりも個々人のプロデュース能力が問われる時代になりつつある。


AKB48もグループとしては一大組織ではあるが、選抜総選挙などに代表されるように、個々のアピール力が今では順位などを左右する。

応援している人からすると、選抜の下のアンダーメンバーなどに誰が選ばれたりするか、そのような二次的な楽しみもあるようだ。


つまり、アイドルに限らず、世間を賑わせているのはネット環境を使いこなして常に情報発信をする人たち。


音楽は世相を表すというが、アイドルグループの在り方も世相に合わせて常に変化しているのでとても面白い。

王道のアイドルグループではなく、インパクトのあるパフォーマンスを行うグループがウケているのは間違いなく今のニーズがそこにあるからこそ。


そういう意味で、次の10年のタームでアイドルという文化がどのような動き方をしているかはとても楽しみなことの一つである。


アイドルとは非常に曖昧なものではあるものの、どんなジャンルも取り込めるのが最大の強み。


「10年桜」というタイトルだけでざっくりと10年間の思い出を振り返りながらつらつらと書いたが、

アイドルを応援するというのは常にその時を楽しまないといけないということは忘れずにこれからもその文化を楽しめたら何よりもいいのではないか。