循環小数の計算を来る日も来る日も続けた。
そこから整数論の重要な問題を発見した。
はじめから問題が「そこにあった」わけではないのである。
割る数を順に大きくしていきそこの現れる「循環節の動き」に身を任せている中に、
ようやく問題は彼の頭の中で熟成され具体化したのである。
彼は「つまらない計算は弟子に任せ、先に進めばいいではないか」という
周りの忠告を決して聞き入れようとしなかった。
彼が生前公開しなかったノートの中には、様々な自家製の数表や公式が書いてあった。
帰納されるべき要素を自らの手で日々造り上げ、”その時”に備えていたのである。