シャーリーズ・セロンは正しい。

シャーリーズ・セロンはカッコ良い。

同性、異性問わず突っ込む余地がないほど正しく、カッコ良い。

決して個人的に容姿が好みとか、

昔から無駄脱ぎと言われるくらいに気風よく脱いでくれるからではなく、

フェミニズム的、政治的に正しいとか、

身体を張って役柄に挑むオスカー女優だからでもなく、

壮絶なトラウマ人生を乗り越えているとかでもなくても、

それらを全てひっくるめて、

「姐さん」と呼んでしまう正しさとカッコ良さに満ち溢れている。

ヤクザ映画でお馴染み、組長の妻への「姐さん」という呼称がぴったりなのだ。

威厳と親しみを込めて「シャリ姐」とか呼んでしまう。

主演作は勿論だけど、制作実務、経済的関与具合は不明だけど、

「プライベート・ウォー」など、

裏方としてのプロデューサーのクレジットにも痺れる。

仕事を選ばないけど、常に一貫した仕事ぶりがうかがえる。

 

今作は割と身も蓋もない逆シンデレラ、玉の輿物語である。

ジェンダー的に正しくあるために、女性上位へと男女を入れ替えるのは昨今の流行りかな。

ポリティカルには正しいけど、物語としてはダメ男の視線が中心なので、

「こんなダメな僕を救済してくれる彼女」という男性妄想な女性の感じも否めない。

主人公はいろいろ一途だけど、大器晩成な才能の持ち主の逸材でもない。

そこら辺のキャラ設定の揺らぎは全部姐さんが引き受けてくれるのだ。

お馬鹿な下ネタも、安直な政治性も、ポップカルチャー引用も全て包み込んでくれる。

姐さんは最高にチャーミングで役に徹してくれる。

だからダメ男ならば、そばにいて欲しい願望をくすぐる。

異性からは妄想として、でも同時に同性の声を代弁して、正しくあることを両立させる。

「マッドマックス」で男権の象徴であるイモータン・ジョーから

女性を解放する女戦士フェリオサに通じる正しく、凛とした政治家として、

次期女性大統領候補の夢物語としても納得させる。これは姐さん以外あり得ない。

主人公みたいに、初めてスクリーンで会ったあの時からずっと……ということはないけど、

最近のシャーリーズ・セロンは最高だ。

 

偏愛度合い★★★