ざざっくり言えば、

歌の好きなヤンキーメンタリティの美少女サクセスストーリーかな。

物語自体は昭和歌謡風味全開とか揶揄されているけど同意。

田舎育ちで貧しい母子家庭の少女は、学校では居場所がなく、友人もなく、

生活のために近所のファミレスバイトしている毎日。

基本ジャージかヤッケ(言葉が古い)を着用、音楽と原っぱ、動物(馬)だけが拠り所。

ふと知ったアイドルオディーションに挑戦して、

勝ち抜き都会へ出ていくなんてほんとクリシェ。

ヤンキー感全開だ。

でも演じているのがエル・ファニングだから成立する物語でもある。

自然風景やネオンと言った逆光や影を多用し、見事なカメラ構図で

あざといくらいのプロモーション映像が続く。

物語自体とは余り関係のないインサートが多い。

これもアイドル映画と思えば、何も間違っていない。

イケメン見つけて、よっしゃと気合入れてミニのボディコンワンピも着るけど、

ほんとどは普段着ばっかり。

コンビニの前うんこ座りしているヤンキー高校生のような

真っ赤なジャージすらお洒落に着こなす。

彼女のインスタ追ってたらわかるけど、あらゆる服を映させる女神のような存在。

何よりも立っ端があるので何を着ても映える。

よくよく見ると幼さが残りながらも、美人と言うには顔バランスがちょっとおかしく、

眼光が鋭く、デフォルトが不機嫌。

その癖、時折笑うと言葉通り地上に降りた天使のようだ。

ロングの金髪を振り乱して歌う画像ばっかり流れてくるけど、

実はお団子ヘアー映画でもある。

お団子ヘアー好きの某監督なら悶絶必至だ。

母が保守的なキリスト教信者で抑圧され、普段は髪を団子状に結う。

勝負どころでは髪をほどき、やる気モードへと変える。

途中から物語を追うより、そんな細部ばっかり見て楽しんでいた。

監督はアンソニー・ミンゲラの息子。

「アンソニ〜ミンゲェラ〜」

という「イングリッシュ・ペイシェント」で

オスカー監督賞を受賞時の声(厳密にはイントネーション)を昨日の様に覚えている。

2008年に死去して、今や息子が映画監督というのだから転がっていく時間が怖い。

あ、そう音楽は断片が使用されるアイリーン・キャラの「フラッシュダンス」以外は

全くオリジナルを知らない曲ばかり。

エルは頑張って吹き替えなしで挑んでいるけど、流石に青臭く心動かせれない。

新年早々、女優愛でるのが映画の基本なので、まあまあ良しとしよう。

 

偏愛度合い★★★

(満点は★5つ)