件の「ボクシング」と「卓球」瑛太のもう一本。

こちらは怪我でボクサーを引退、ひょんな誤解から妻と娘とは離婚、
現在は建築現場で働くやさぐれ者がご都合主義にも卓球大会に挑戦するという話。
でもあくまでも、基本は新垣結衣主演のダメ女が卓球に賭けて再生復帰ししていくのが主題。
「逃げるが恥だか役に立つ」以降、昇り調子で旬の女優の主役に据え、ドラマの流れをくむ、
八方ふさがりの状況でちょいとこじらせた役柄という二匹目の泥鰌狙いは見え見え。
しかし「エイプリル・フール」というクズ、カス、ゴミなどと称される石川淳一監督に古沢良太脚本コンビ
なのだから最初から嫌な予感しかしない。そして案の定とうか予感は的中した。
上滑りという言葉がこれ程相応しい作品も類を見ないだろう。
確かに主役の新垣結衣と瑛太は勿論、東宝とフジテレビの金に物を言わせて
ストーリー上どうでもいい脇役への豪華な配役を実現して見せた。アコギというか、下世話というか。
状況的には弱者である苦境に陥った主人公たちが、くじけながらも、日々の努力の末、
卓球を通じてそれぞれの栄光を勝ち取るという類型的なストーリー。
卓球というのが珍しいだけで、スポ根ものの亜流として別に珍しくもない。
一度は挫折を味わいながらも、再起するというパターンも同様。
これみまた所詮ジャンル映画なので、別に今まで見たことがない、
奇抜な設定やトリッキーな展開、大どんでん返しを求めているわけではない。
メンバーそれぞれが抱えた背景を描きながらの群像劇風に仕上がているけど、何せ薄っぺらい。
そのご都合主語的な強引な展開や内面へ共感できない上滑りしていく。
映画というメディアがテレビドラマよりも格が上という古臭く悪しき論を持ち出すつもりはなくても、
どこかテレビドラマ的な安っぽさを秘めている。
ドラマではあんなにも魅力的なガッキーもいまいち精彩があがらない。
元々苦手というか、全く眼中になかった個性の薄い女優を毎週放映を心待ちするくらいに
魅力的に描いたのはドラマそのもの(演出と脚本、配役を含む)の持つ底力だったろうが、
今作に至っては狙って外したパターン。往々として狙い過ぎると外すのが世の常。
2時間ひたすらすべり続けて、上っ面だけの中身のない、どこも深読みをしようがない、
更にはラストでは上から目線で説教までおっぱじめるに至ってはゲンナリ。
あゝ唯一笑えたのは蒼井優が演じる中国人料理店の楊さんだけかな。


偏愛度合★★