ツイスト具合が堪らない。
正体不明の組織による突然の主婦の拉致、監禁で始まり、
密室での不可解な人体実験というか心理的拷問が延々と続き、
やがて「ボディスナッチャー」な侵略SFへ突然飛躍し、逸脱していく。
とりわけ珍しくはない設定だけど、定番ジャンル映画の繋ぎ合わせみたいな一度で何度も楽しめる
みたいな過剰なサービス精神の展開には心躍る。但し、一部偏愛者限定だけど。

脚本のブライアン・ネルソンは「ハードキャンディ」では赤ずきんをモチーフに少女が
ロリコンオヤジを逆に監禁するなど、つくづくツイストした監禁モノが好きなようだ。
監督のステーヴン・シャインバーグも「セクレタリー」ではSM秘書モノという倒錯ぶりだ。
また主演女優もオリジナル「ドラゴンタトゥーの女」のパンクヒロインのリスベット役のノオミ・ラパス。
更にはヤバい系専科のピーター・ストーメアーだ。
殆どの舞台は地下実験室。
複数の拉致者たちが拘束され、嫌いなモノで延々といたぶられるのだ。
ヒロインはクモ嫌いで、クモ攻めされる。虫嫌いでなくてもさぶいぼ級のイヤ~な感じが出ている。
中盤以降は閉鎖空間の構造を活かした、監禁と逃亡劇がサスペンスフルに展開される。
その果てに明かになる真相へと転がっていく、逸脱感が快感。
観客の予想を裏切って、逸脱することがジャンル映画においては一番の切り札だ。
映画では時として潤沢な予算ではなく、
個々のアイディアこそが物語をおもわぬ方向へと加速度的にドライヴさせるのだ。
特殊ジャンル映画の曲者が揃いも揃って、一発ネタで繰り広げる悪ふざけのような作品だ。
もちろんこれは最高の褒め言葉だ。


偏愛度合★★★