何よりもソードオフの二連ショットガンで大いにアガル。
メル・ギブソンが構えているだけで、その筋の人なら天にも登る気分だ。
荒野を駆ける荒くれオヤジの復帰作としては最高のガジェットを持って来てくれたぞ。

イメージ 1

主人公は出所後、荒野のトレーラーハウスで細々と暮らし、酒を断ち、断酒会へと参加して告解する。

   酒のせいで人間関係はボロボロ。修復不可能だ。断酒したって誰もほめてくれない。
   娘は行方不明のままで、元妻は口もきかない。昔の仲間と会えば仮釈放は取り消しだ。
   散々人に迷惑をかけてきた。汚点は消せない

などと演技なのか、素の懺悔の告白なのかという台詞が続き、
演じるメル・ギブソンのキャリアと劇中の役柄を意図的に重ねていく。
だからこそ窮地に陥った娘の救済のために、
立ち上がり、アウトロー魂を覚醒させ、裏社会へと復帰する姿が胸を打つ。
それは、まるで虚実を越えて、罪をあがなう贖罪のようだ。
多分これは最初にメル・ギブソンという配役ありきの、アテ書きだろう。
監督は何故かフランス人なのだけど、アルコール中毒と酔った果ての人種差別発言で、
一線から遠のいていたギブソンの主演カムバックとしては最高の舞台だ。
公開を控えている期待大な「ハクソー・リッジ」といい、第二の黄金期に突入したのかもしれない。
言わずもがな「マッドマックス」自体が西部劇をベースにした映画だ。
荒野を舞台に、馬を車に置き換えた物語だ。
そして今作もまた古き良き西部劇の香りが濃厚なのだ。
家族のために、組織的な巨悪に立ち向かう初老の男だ。
過去の罪を引きずりながらも、誰かのために行動する。
長年裏社会で培った行動と状況判断能力、昔の仲間を頼りに逃亡劇を繰り広げる。
プロット自体はシンプルで、強いていえばご都合主義なツッコミどころも少なくないけど、
勧善懲悪じゃなくて、悪が更なる悪を討つという明確で痛快な物語が観客を寸分も飽きさせない。
普遍的な王道の物語っていつの時代でも形を変えて、生き残っていくのだろう。
超はまり役(?)のメル・ギブソンだけでなく、エリン・モリアーナのやんちゃな娘役、
最近「スター・ウォーズ」以降引っ張りだこのディエゴ・ルナの下衆野郎っぷりもイイ感じ。


偏愛度合★★★