ディザスタームービーというより、実話再現映画に近い。
2010年というごく最近に起こった実際の事故を極端にドラマチックに加工せずに経緯を追うだけ。
事故発生までの経緯は割と細々と描写してくれるが、淡々と事実関係を時期列通りに並べ、
専門用語を駆使して、リアリスティックには説明してくれるが、素人にはさっぱり理解できない。
マーク・ウオールバーグ、カート・ラッセル、ジョン・マルコヴィッチという演技派を配してはいるけど、
あくまでも実在人物がベースなので変にキャラ立ちさせずに、行動主体で内面描写も薄い。
そこに実際いた人物をなぞっているだけで、感情移入しにくい。
後半原油が流出して、火災となり、施設自体が爆発、崩壊に至ってからは
セットとCG組み合わせ、俄然大迫力だけど、
昨今の観客自体が各種破壊描写に慣れている為、空前絶後に衝撃的というほどでもない。
主人公が懸命に誰かを救い出したり、その動向を不安気に遠くから見守る家族という
このジャンル映画の王道描写はあっても、どうにも盛り上がらないのだ。
いい意味でも、悪い意味でもディザスター映画の外連味はない。
当然逃げ遅れた犬を救い出そうと戻る主人公もいない。
結局大量の原油が流出し、施設は崩壊となり、行方不明者(死者)11名を出す惨事とはなったが、
多くは脱出でき、映画もそこであっけなく終わる。
その後の原油市場や環境への影響、企業の責任追及といった肝心の部分は
ざっくりとエンディング後の表示で流すだけ。言葉通りに氷山の一角だけどを描くのみ。
エンドクレジットには実話映画化ではお馴染みの大嫌いな手法であるモデルとなった人物の
実際の写真を並べるという延々と続く。
割と記憶に新しい事故であり、当然関係者は現存しているだろうし、
追悼(黙とう)という意味合いがあるのだろうが、これでもかとばかりに見せびらかす感じが苦手だ。
劇場の画面を見つめるという安全な蚊帳の外から、
ひたすら破壊を楽しむというディザスタームービーの俗っぽさのみを期待した観客にとっては
リアルかも知れないけど、些か退屈なだけ。


偏愛度合★★