いきなり不謹慎な言い回しかも知れないが、7名の幼馴染とその配偶者のスマホに隠された秘密が
同時多発テロ的に炎上するというありえないブラックなシチュエーションコメディ。
僅か96分の物語で、あり得ない偶然とシンクロニシティに突っ込むのは野暮だろうけど、
矢継ぎ早に暴露される秘密はやや出来過ぎな感じは否めない。
多分「おとなの事情」によって、脛に傷を持ってたり、
何かしら秘密を有する人によってはこの状況は他人事ではいられないのかもしれない。
でも秘密からは遠く、思ったことが同時に口から出てくる性分で、不携帯電話と揶揄されるくらい、
充電器に仕込みぱなしで、活用しない身としては土俵の外から興味津々で眺めるしかない。
友人同士の会食が、月食に月を一緒に見るという設定が肝だろう。
古くから月の満ち欠けが人の精神や健康状態に影響を及ぼすことが伝えれている。
精神な不安定な状態、例えば理由もなくイライラしやすくなったり、何もかも面倒になリ、
捨て去りたくなったりする例もあるようだ。
それに輪をかけた、ワインの悪酔いの力か、場の座興か、
王様ゲームのようにそえぞれの携帯を披露しあうという無謀なゲームへと突き進む7人。
突けば、出てくる出てくる埃だらけの悪夢のようなゲームだ。
言い訳だらけで、嘘が更なる嘘を生み、裏駆け引きとインチキプレゼンテーションがくりひろげられる。
多少の皆が集まるまでのイントロを経て、あとはその場の会話だけで、
個々の人物のキャラクターと状況説明を巧みに舞台劇のように90分の尺でまとめる脚本は見事だ。
結局暴露された数々の秘密。
国家機密レベルではなく、身の回りの人を見渡せばいくらrでもあり得そうなレベルだ。
だからリアリティを伴い、痛く響く。
最後には大炎上を起こして、人生崩壊とも言うべき一大カタストロフィーとが展開されるかと思えば、
何となく元のさやに納まるのもまた「おとなの事情」だ。
しかしスマホは単なる通話の為の通信機器ではなく、メールやLINEに画像、SMSへのリンクと
既にその個人の外部記憶端子と化している。
閉ざされている限りにおいては一見ブラックボックスであるけど、一旦開かれ暴かれれば、
全ての個人情報が垂れ流しになる誠に恐ろしい産物なのね。
その意味では現代のホラー映画だ。


偏愛度合★★★