前評判では誰しも口を揃えたように、主役二人の配役への賛辞が並んでいた。
あゝ嫌な予感は的中した。
例えてみれば、広瀬すずと菅田将暉を宇宙船でイチャイチャさせるようなもんだ。
SF設定や背景、ストーリー展開なんて二の次で、画面に二人がキラキラしていたらいいのだ。
昨今流行りの胸キュン高校生ものと同じコンセプトと同じだ。
日本での人気は兎も角、ジェニファー・ローレンスとクリス・プラットという
現在最も勢いのある若手美男美女俳優を揃えたゴージャス感は感じられる。
壁ドンこそないけど、ドレスアップしてシャンペンでチンの乾杯はある。
でも肝心のSFとしての設定が古すぎる。
既に21世紀のに、半世紀前に制作された「2001年宇宙の旅」をなぞったような宇宙船像。
船の曲面上のデザイン、モダンな真っ白なチリひとつないクリーンルームみたいな内装、
まるで人間ドックに着る手術着のような衣装、ソイレントグリーンの様な固形食品、
娯楽と言えばアーケドゲーム並みのダンス競技にバスケにプールと時間は止まっているらしい。
航行中、隕石との衝突により船体が傷つき、致命的なシステム損傷が発生したにも関わらず、
まず異常が現れるのが自動掃除ロボットという意味不明さ。
突然ひとり目覚めた男は確約された孤独な死に戸惑う。
話し相手はアンドロイドのバーテンダーのみ。
これは「シャイニング」でジャック・ニコルソンと会話するバーテンダーの引用という説があったが、
そう考えると宇宙船デザインもキューブリックオマージュなのか?
孤独の末、彼は技術屋という設定なので、
やけくその力技で自分好みの女性を無理矢理コールドスリープから目覚めさせる。
緩やかな殺人罪、あるいは殺人幇助ですよ。
美男美女が蜜月を過ごしたのは束の間で、船のシステムトラブルが深刻となり、航行困難となる。
何故かモーフィアスが目覚めて、直ぐに去っていき(あ、ネタバレだ)、
ご都合主義にシステムを巧みに二人で修理してしまうという強引さには流石にカタルシスもない。
全編この調子でテキトーすぎる物語展開なのだ。
オラオラ、SFを舐めんじゃねぞ!!!

.偏愛度合★★★