誰がこの映画を壊したのか?

壊れた映画である。
でも確信犯なのでこれは褒め言葉。
映画にはいくつかの段階がある。
まずは原作があり、次は脚本。
そして撮影現場には役者の演技、監督の演出、美術や照明などがある。
最後に編集には音楽や効果音などもある。
言わずもがな映画を壊した犯人は中島監督であろうが、何処で壊したのかが興味深い。
 
原作は未読なのでプロットや描写の比較はできないが、
普通にミステリーとして成立している気はする。
知りたいのは脚本段階で何処までこの破壊の青写真を描きこんでいたか?
更には現場で撮影された映像の断片何処まで普通の映画だったのか?
すなわち過剰な演技と台詞ではあるが、
普通に繋げば普通の映画として成立する程度だったのか?
そしてポストプロダクションでの破壊の関与具合は?
監督のこれまでの作品を観ても、
映画と観客への露悪的な底意地の悪さと悪意を装う行動は見受けられる。
これが快感なんだな。
映画を鑑賞してほっこりしたいとか、感動したいなんて思わない。
いかに2時間をかき乱されるか、後味悪さが刻まれるかが必須。
見事にキャラ立ちが全てのやりすぎ演技合戦に容赦ない暴力描写、
無茶苦茶なカット繋ぎ、ミスマッチな音楽と際立っている。
確信犯でタランティーノや園子温をおちょくっているのか?
 
周囲の騒乱の中、小松菜奈の演技しない空っぽの存在感と高笑いが冷ややかで心地よい。
彼女は今後女優として化けるか、消えるかが楽しみだ。
 
偏愛度数★★★★