自分の世代(アラフィフ)では60年、70年代は断片化した記憶に頼る「懐かしい」世界である。
でも80年代は「懐かしい」よりも「恥ずかしい」が先に立つ。
過ごした青い春の記憶がどうしても羞恥を喚起する。
ちなみに90年代以降は「ついこの前やん!」と突っ込むしかない記憶の生々しさ。
舞台はアジア映画の全然垢抜けない、そしていけてない恥ずかしさ全開でおまけに主な舞台は80年代だ。
それ故に恥ずかし風景を観ている恥ずかしい自分が恥ずかしい。
別に主人公たちと似た記憶があるわけでもないが、不変に心をかき乱す。
でもそれが結構快感なんだよな。
さらには男二人に女性一人という映画でもしばしば流用される黄金のトライアングル。
何度も映画で体験して、少なからず憧れた関係。
でもちょっとひねってあるのは、全員が片思いで一方通行という設定で、
現在に至るまでひたすらすれ違い続ける三人の姿を描く。
(恥ずかしながらほとんど台湾の歴史を知らなかったが)
民主化運動を背景に翻弄される若者の姿もまた不変に心かき乱す。
 
恥ずかしいけど、何となく目をそらせない映画。
 
偏愛度数 ★★★