結構面白い。
役者も監督も事前情報なしだったが偶然、またたしても「潜入捜査」映画だった。
こりゃ密かにシンクロニシティだ。

持つと持たざるものという分かり易いまでに簡素化された設定。
すなわち環境破壊と私利を貪る悪徳企業と
環境や消費者といった看板を掲げて正義と是正を訴えるテロリストという図式。

主人公は企業が取引先の仲裁、調整会社からのエージェントとしてテロリストに潜入する。
当たり前だが現実はややこしい。
正義も悪も、大義も本音も常にぐちゃぐちゃで存在する。
潜入者として演技が演技する本質と勝手に共鳴し始めて、混沌たる状態で
段々本質やアイデンティティなどどこ吹く風となる。

潜入捜査なんてものが現実世界にどの程度リアリティがあるものかは知らないが、
極めて映画的な設定なんだろう。
ある事象を描写するにあたり、複数の視点を交差させ、橋渡しとしての潜入するものの
アイデンティティの危機を描くだけで十分に物語が成立する。
逆にそれだけ使い古された陳腐な設定ともいえるので取り扱い注意なネタだけど。


偏愛度数★★★