いやあ、面白かった。

鳴り物入りで期待しての鑑賞だったが、前半少々もたついて空回り気味。
ところが中盤以降、登場人物が出揃い、
キャラ立ちし始めると急に盛り上がってきて、ラストまで一気に雪崩れこむ。

こりゃ芸達者な役者の達のコスプレ競演だ。

禿げて太って、乳出して、パンチパーマに、年増に、と普段とは違った役柄を披露。
演じていて楽しかっただろうな。嬉々とした感じが伝わってくる。
揃ってオスカーノミネートも頷ける。

ちなみに個人的な一番はジェニファー・ローレンス。
「死ぬのは奴らだ」掃除が最高!
何気にずれている奇人を演じさせると素晴らしく上手い。
ついでにロックのクラシック連発のベタなサントラがいい。

この作品の後、「新しき世界」「ザ・イースト」と潜入捜査ものを連続鑑賞。
シンクロニシティに共鳴して面白かった。

誰しも素の自分と演じている自分がいる。
そしてリアルな本質は決して他者から解読されることはなく、
目的や役柄、立場などの必要性に応じて表層的に演じているに過ぎない。
ある時は本当の自分を偽り、他者からこう見えて欲しいという姿を演ずる。
人生も映画と同様に、人と人との演技と演技が接することで成り立ち、
産まれてから死ぬまでの長い長い一幕の舞台みたいなもの。

さらには演ずる役柄(登場人物)を演ずる、あるいはその場を演出するのが映画。
刻まれた映像(作品)を劇場で体験しながら、観客が勝手に読み解くのが映画。

何処にも本当はなく、嘘偽りだらけだけれどそれがまた堪らないのだ。
もう一度観たくなるな。

いやあ、面白かった。

偏愛度数★★★★★