結局繰り返されるファックという叫びしかしか残らない。

最初から最後までアッパーな作風でセックスとドラッグとハッタリだけ。
自分も80年代に20代を過ごしたいわゆるバブル世代なのだが、
泡の恩恵を体験したことも、アッパーな日々を過ごした記憶も皆無なので
どこか現実を誇張したファンタジーのようだ。
物語性豊かな寓話ではなく、あくまでも実話をベースにしており、
特に後世への戒めや教訓もない。
所詮映画に道徳性は別に求めはしないが、興味がない内容でいささかレスポンスに困る類い。
いつもながら映画で触れるアメリカという国の狂気じみた極端な一面は業が深い。

3時間弱の長尺に退屈はしないが、
引き算のない演出と主演の演技は脂っこくトゥーマッチ。
中盤の凡庸な教科書通りのミドルショットの切り返しの室内会話シーンの
演出に妙にイラつき、何故かそれしか残っていないのだ。
スコセッシが悪いのか、編集、撮影の問題なのか、この細部が全てを支配してしまった。
勝手な観客の私見だけどね。
そして肝心のディカプリオがいくら3時間出ずっぱりで気張っても、
冒頭10、15分程度で作品全体のトーンやテーマを決定してしまう
マシュー・マコノヒーの怪演が美味しいところは総取りとはコワイ役者だ。
費用対効果は抜群でオスカーは遠い?

結局500回以上合言葉のように連呼されるファックしか残らない。
ああああ、ファック!
 
偏愛度数★★★