いや清々しいまでにゲイゲイしい映画だ。
タイトルバックはソウル・バスを模したスタイルで心躍る。
でもすぐに本篇と無関係なアントニオ・バンデラスとペネロペ・クルスが
カメオ出演のベタな寸劇で出鼻をくじく。
キタキタという感じで笑えないコメディの幕開けだ。
キャラの立ち過ぎた登場人物がトゥーマッチなオーバーアクトで機内という閉鎖空間で暴れる。
映画というより舞台劇のようだ。
コメディもまたこの監督のアイデンティティの一面なのだろうが、
どちらかといえばピリピリした緊張感のある作風を好むので、
ちょっと乗り切れない。そして余り笑えない。
でも一番笑えたのはポインタシスターズのタイトル曲に合わせて
ゲイキャビンアテンダントがクネクネ客席を舞うシーンかな。
カメオの二人以外にも、毎度お馴染みのセシリア・ロス、
前作から続いてブランカ・スアレスなどアルドモバル組が集結。ほとんど身内ノリだな。
とってもキュートなブランカさんの無駄使いはもったいない。
女装趣味はないが、彼女のワンピースは素敵すぎる。
スラリと街角を歩いていたら絶対恋に落ちるだろう。落ちない男はいないはず。
文句ばかりのようだが、結構嫌いではない。
監督の開き直ったようなゲイゲイしさは決して嫌味でも皮肉でもなく清々しい。
陽気な倒錯趣味は心地よい。
そして何はともあれこの監督の新作は劇場へ駆けつける。
偏愛度数★★★