彼は、苦労人だ。
一般的に言われてる
「誰もが愛されて産まれてくる」って言葉が、
チンケなものに聞こえるほど。
バカバカしい偽善に思えるほど。
彼は深く傷ついてるし、
それを誰も、癒すことは出来ない。
最初にそれを聞いた日。
うまく寝れなかった。
グルグルとその事が頭から離れなくて。
彼の気持ちが乗り移ったみたいに苦しくて。
悲しくて、辛くて。
それと同時に、彼の人生をそうしてしまった環境や人物に対して、
ぶつけようのない怒りが湧き上がった。
多分もう。
その時から彼のことが好きだったんだ。
しばらくして、毎日電話して話して遊ぶ日々の中。
一度だけ彼が言ったことがあった。
「ありがとう」
「お前には救われてるよ」
「俺には闇の部分あるからさ」って。
きっと、覚えてないと思うけど。
何の意味もない言葉だったのかもしれないし、
もしかしたら、気を引くためのセリフだったのかもしれない。
けど、なんでかな。
私はその後一人で泣いた。
ネガティブで。
負けず嫌いで。
見栄っ張りで。
傷つきやすくて。
自信家のふりして、本当は臆病で。
素直じゃなくて。
甘えベタで。
そして誰よりも自分のことが嫌いで。
だからさ。
私は、彼のぶんまで彼を。
愛したい。
抱きしめたい。
産まれてきて。
私が触れられて。
存在していて。
ありがとうって思いたい。
ただの、私の自己満なんだろうけど。