あの頃。
楽しかったのはもう幻で。
今は何を話したらいいのか、わからない時がある。
彼が。
どこか冷めているから。
寒い中仕事だと言った彼。
辛いだろうな、嫌だろうな。
それでも前に歩いてく彼はかっけぇな。
常にそう思ってたから。
「偉いよね、頑張ってるね」
って、言った。
そしたら
「なんで上から?馬鹿にしてるの?」
って返事がきた。
上から言ったつもりは全くなかった。
むしろ、今までずっと彼にそれを伝えてた。
いつも普通にしていた会話が。
だんだん彼の気に触るようになってしまった。
電話中もいつも音楽がかかってた。
最近はTVが爆音で流れてる。
まるで、私のことを無視してるかのように。
居心地の良かった電話の時間が。
苦痛に思えるようになってきた。
それは多分、彼も一緒で。
私は、また前みたいに楽しく話がしたくて。
あれこれ考えて。
ことごとく失敗して。
「お前って言葉を知らないよね」
「お前は生意気だしね」
「電話切る?つまらなそうだし」
「別に毎日電話しなくていいよ」
だんだん、彼の負の言葉を聞くのが。
怖くなっていった。
だって。
話題がない。
ゲームの友達の話をしても、
「そうなんだ、じゃあその子と遊びな」
って言われる。
私が遊びたいのは彼しかいないのに。
「お前は八方美人」
「男たらし」
本当にそうかもしれない。
でも、その他の人間が何人いたって、
彼にはかなわない。
彼が一番で。
彼に勝つ人なんていないんだ。
誰にいい顔してようが。
一番優先するのは、やっぱり彼なんだ。
そう伝えても。
彼には届かない。
「ふーん、まぁなんでもいいけど」
「お前のことは信用出来ない」
そう言われておしまい。
昔。
彼の口癖が好きだった。
照れたように言う「まったく」って言葉と。
分かったよって言うような「ん」っていう返事。
最近は、聞かなくなった。
私に対して、優しくしなくても良くなったからだろうか。
昔の彼は。
もう居ないんだろうな。
私はもう、会うことはできないんだ。
もしかしたら。
ずっとその彼のまま過ごせる神みたいな女の子がいるのかもだけど。
それはきっと。
私より頭が良くて。
彼の事わかってて。
信頼してもらえる人なんだろうな。
私じゃない。