貞子3Dを観てきました。
全体的に観て『なんでこーなった?』と言う印象でした。
前半部分は動画を観た者はことごとく自殺するという「貞子」らしさを感じたのですが、後半部分は貞子の姿をした化け物が現れるという妙な展開。
ホラー邦画の良さはじわっとくる間接的な怖さ、「得体の知れなさ」にあると思うのです。なのに、確かに貞子の姿をした節足動物のような化け物は怖いのだけど、それを登場させたがゆえにせっかくの世界観がぶち壊しになったような気がします。
単純に「怖い」というだけで終わらせないのがホラー邦画の良さであって、「後味の悪さ」や「人間の業」みたいなものを描くのが日本人好みじゃないのかなぁ。
どうも洋画に近くてつまらなく感じてしまった。
「リング」のラストは、自分達を呪いから守ろうと自分の父母にビデオを見せてしまおうという衝撃的な行動に移ります。そういう「人間の業」みたいなものにうすら怖さを感じたのに、今回の「貞子3D」は3Dというものにとらわれ過ぎて直接的な恐怖演出ばかりを感じさせられた気がする。
こういう内容なら洋画とあまり変わらないし、既視感すら感じてしまう。
それと、動画で呪いが拡散していくというのは一見すると新しいようでいて実はありふれたアイデアのようにも見える。「一種のコンピュータウィルスのようなものでしょ」と言われたらオシマイな気がする。クラウドコンピューティングという新しい分野で真新しさを感じるけど、実はそうでもない。
ネット掲示板で叩かれたから貞子復活させて人類を根絶やしにしようという動機もなんだか短絡的だし、このあたりも「人間の業」らしさを感じない。そうでないなら、現代で取り上げられた犯罪記事の動機にちなんだ、「幼稚っぽさ」を取り上げたほうがいいのではないだろうか。
色々と疑問を感じてしまう内容だった。